【楽曲解説】Mrs. GREEN APPLE『僕のこと』の歌詞の解釈とは?

さてさて、久しぶりですが新年一発目のブログの更新をしたいと思います!

 

今年の一発目は10代後半の中高生に大人気のロックバンド「ミセス」ことMrs. GREEN APPLEが2019年1月9日にリリースしたNewSingle『僕のこと』です。

 

第97回全国高校サッカー選手権大会の主題歌にも選ばれたこの曲について、歌詞の意味や楽曲の良さについて語ってみようと思います!

 

Mrs. GREEN APPLEのリリース情報はこちら

mrsgreenapple.com

 

1. Mrs. GREEN APPLEについて

楽曲は、2019年1月9日にリリースされた、Mrs. GREEN APPLEの8枚目のシングル曲です。

Mrs. GREEN APPLEというバンド名は印象も強くて前から聞き覚えがあったけれど、一体どんなバンド?と思っている方のために、楽曲の紹介に入る前にまずはMrs. GREEN APPLEの紹介です!

 

Mrs. GREEN APPLE

Mrs. GREEN APPLE

2013年に結成され、2015年にEMI Recordsからメジャーデビューした5人組ロックバンド。

メンバーは、大森元貴(Vo/Gt)・若井滉斗(Gt)・山中綾華(Dr)・藤澤涼架(Key)・髙野清宗(Ba)。

結成からわずか2年でメジャーデビューし、大森のハイトーンボイス・超Popなメロディや若者に寄り添った歌詞が、10代を中心に圧倒的な支持を得る。

特にドラマ『僕たちがやりました』の主題歌に抜擢された『WanteD!WanteD!』は、流行している動画SNS「Tik Tok」のダンスが話題に。彼らの知名度が広まるきっかけとなった。

 

自分はロックバンドのライブに毎週のように出かけていますが、いわゆる音楽フェスの中でも「ミセス」のライブはとりわけ若い(10代くらいの)女子が多い気がします。

 

20代中盤の立派な大人にはちょっと若々しすぎて緊張するところもあるのですが、透明感のある歌声、キャッチ―なメロディとまっすぐなMCは他のバンドにはない楽しさもあります。

 

彼らの音楽の魅力については最後に少し触れますので、まずは新曲『僕のこと』について、その歌詞や楽曲の聴きどころを書いていきたいと思います!

 

2. 『僕のこと』の歌詞について

 

Mrs. GREEN APPLE『僕のこと』(MV Short Ver)

www.youtube.com

 

Mrs. GREEN APPLE『僕のこと』(音源FullVer)

Bokuno Koto - YouTube

 

▼歌詞

Mrs. GREEN APPLE『僕のこと』

詞/曲:大森元貴

 

僕と君とでは何が違う?

おんなじ生き物さ 分かってる

でもね、僕は何かに怯えている

みんなもそうならいいな

 

がむしゃらに生きて誰が笑う?

悲しみきるには早すぎる

いつも僕は自分に言い聞かせる

明日もあるしね。

 

ああ なんて素敵な日だ

幸せと思える今日も

夢敗れ挫ける今日も

ああ 諦めず足宛いている

狭い広い世界で

奇跡を唄う

 

僕らは知っている

空への飛び方も

大人になるにつれ忘れる

限りある永遠も

治りきらない傷も

全て僕のこと

今日という僕のこと

 

得ては失う日々 意味はある?

伝わることのない想いもある

だから僕は時々寂しくなる

みんなもそうなら

少しは楽かな

僕だけじゃないと

思えるかな

 

ああ なんて素敵な日だ

誰かを好きでいる今日も

頬濡らし眠れる今日も

ああ 嘆くにはほど遠い

狭い広い世界で

僕らは唄う

 

冬に咲く花に

命が芽吹くよ

駆けるは 雪の大地

青すぎた春を

忘れずに居たいと

語るは 友との地図

駆けるは 人の旅路

 

僕らは知っている

奇跡は死んでいる

努力も孤独も

報われないことがある

だけどね

それでもね

今日まで歩いてきた

日々を人は呼ぶ

それがね、軌跡だと

 

ああ なんて素敵な日だ

幸せに悩める今日も

ボロボロになれている今日も

ああ 息をして足宛いている

全て僕のこと

 

あの日の僕らのこと

 

僕と君とでは何が違う?

それぞれ見てきた景色がある

僕は僕として、いまを生きてゆく

とても愛しい事だ

 

この曲は言葉選びが非常にストレートなため、聴き手の心にすっと入ってきます。

また、曲を構成する楽器が多いのも特徴の一つです。ギター・ベース・ドラム・キーボードに加えて、ストリングスやトランペット等が前面に立ったアレンジになっており、メロディに壮大な印象を与えています。

 

【1】1番Aメロ

僕と君とでは何が違う?

おんなじ生き物さ 分かってる

でもね、僕は何かに怯えている

みんなもそうならいいな

歌詞は、「僕と君とでは何が違う?」という問いかけから始まります。「僕」も「君」も同じ人間です。自分が感じている何かへの怯え―それと同じようなことを、誰しもが感じていたらいいなと「僕」は思います。

 

【2】1番Bメロ

がむしゃらに生きて誰が笑う?

悲しみきるには早すぎる

いつも僕は自分に言い聞かせる

明日もあるしね。

見え方を気にせずにがむしゃらに生きていると、誰かに笑われるかもしれません。そのたびに惨めな気持ちになりますが、悲しみに暮れて過ごすには早すぎます。

まだ自分には手つかずの「明日」という未来がある。そうやって自分に言い聞かせて過ごしているのです。

 

【3】1番サビ

ああ なんて素敵な日だ

幸せと思える今日も

夢敗れ挫ける今日も

ああ 諦めず足宛いている

狭い広い世界で

奇跡を唄う

毎日悩んではつらい気持ちになるけれど、だからこそ「幸せ」と思える今日は幸せだし、自分の夢が破れた日も自分を成長させてくれるきっかけになるという意味でなくてはならないもの。

だからこそそんな毎日の中で、あきらめずもがいて、少しでも夢に近づこうとします。

僕らは知っている

空への飛び方も

大人になるにつれ忘れる

限りある永遠も

治りきらない傷も

全て僕のこと

今日という僕のこと

10代後半という青春時代は、まるで空への飛び方を知っているかのように、自分の夢に向かって羽ばたける時期。我々は大人になるにつれて、そんなかけがえのない時間を忘れてしまいます。

有限な”永遠”という時間も、その中で経験した傷も、この素晴らしい今を生きている「僕」だからこそ感じられる気持ちなのでしょう。

 

【4】2番Bメロ

得ては失う日々 意味はある?

伝わることのない想いもある

だから僕は時々寂しくなる

みんなもそうなら

少しは楽かな

僕だけじゃないと

思えるかな

努力して何かを得ても、次にはそれを失ってしまうような毎日。人はそんな毎日に、意味があるのかと考えてしまいます。

どんなに心を通わせているように見えても、完全に自分の気持ちが相手に伝わることはありません。だから時々、「僕」は激しい寂しさに襲われます。

自分だけではなければ、少しは楽に思えるかもしれません。

 

【5】2番サビ

ああ なんて素敵な日だ

誰かを好きでいる今日も

頬濡らし眠れる今日も

ああ 嘆くにはほど遠い

狭い広い世界で

僕らは唄う

誰かを好きでいれることも、思いが伝わらずに涙するのも、それ自体は素敵なことです。

毎日そんな経験のできるこの世界は、嘆いてばかりの憂うべき世の中ではなく、面白く幸せな世の中かもしれません。

 

【6】Cメロ

冬に咲く花に

命が芽吹くよ

駆けるは 雪の大地

青すぎた春を

忘れずに居たいと

語るは 友との地図

駆けるは 人の旅路

青すぎた青春の記憶を忘れずにいたいと、友と語り合いながら、我々は人生という旅路を駆けていきます。

 「冬に咲く花」は、ここでは高校サッカーのサッカー選手のことを暗に示しているのかもしれません。冬の雪の大地を駆けまわり、躍動する選手の姿が思い浮かびます。

そんな若き選手の姿を、私たちが悩みながらも生き生きと過ごす”人生”の姿に重ねて考えることもできるかもしれません。

(このCメロのメロディが、全体の中でもひときわ壮大で美しいですね。。ライブでも一番鳥肌が立つ部分です。本当に素晴らしいですね、、!)

 

【7】ラスサビ

僕らは知っている

奇跡は死んでいる

努力も孤独も

報われないことがある

だけどね

それでもね

今日まで歩いてきた

日々を人は呼ぶ

それがね、軌跡だと

我々は「努力は必ず報われる」という言葉が必ずしも真実ではないことに、大人になるにつれて徐々に気づいていきます。しかしそれでも、今日まで歩いてきた歩み(=「軌跡」)こそが、人生を形作るかけがえのないものになるのでしょう。

(奇跡と軌跡が掛かっていますね、、!)

ああ なんて素敵な日だ

幸せに悩める今日も

ボロボロになれている今日も

ああ 息をして足宛いている

全て僕のこと

 

あの日の僕らのこと

 

僕と君とでは何が違う?

それぞれ見てきた景色がある

僕は僕として、いまを生きてゆく

とても愛しい事だ

毎日、悩んでいることや、ボロボロになっていることそれ自体が幸せなことなのかもしれません。もがきながら毎日を生きていることが、他でもない「僕」の人生を生きているということであり、それが過去になると「あの日の僕らのこと」になるのでしょう。

「僕」と「君」と、それぞれが歩んできた道のりがあります。「僕」は「僕」の人生を生きればいい、それ自体がとても愛しいことだと「僕」は気づきます。

 

3. 「ミセス」の魅力はありふれた不安や興奮を掬える

”鋭いワカモノ感覚”

いかがだったでしょうか。悩みながらも夢に向かって懸命に前に進もうとする、若者の青春をうたった「ミセス」らしい爽やかな一曲だったと思います。

 

さて、この曲を聴いても分かりますが、Mrs. GREEN APPLEがその他のバンドと比べて圧倒的に秀でているのは、中高生世代に誰しもが感じるありふれた不安や興奮を言葉で巧みに掬い上げる”鋭いワカモノ感覚"なのではないかと自分は思っています。

 

例えば、1stSingle『Speaking』のこんな一節。

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先生でも何にも知らない

親友でも何にも知らない

誰にも話す気はない?

僕には話してよ

『Speaking』

そもそも、「先生」や「親友」といった単語自体が、学校というコミュニティにいなければなかなか耳にすることの少ない言葉かもしれません。先生はもちろん、仲の良い友達にすら話せないような悩みを、多感な思春期には誰しも持っていたものです。

そんな悩みを打ち明けられる人がいたらなぁという気持ちを全力で肯定し、「僕には話してよ」(話さなくてもよいけれど、ここではその気持ちに正直になってみなよ)と問いかけるMrs. GREEN APPLEの感覚は見事だなあと思います。

 

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I can, You can, We can, って

耳にタコができるほど聞いた

I love youの言葉だって

どこから信じればいいの?

『StaRt』

 「あなたならできる」なんていう言葉があふれていて、その言葉自体を信じられなくなってしまう。「好き」というストレートな言葉だって、疑いたくなってしまう。人生経験が少ないナイーブな思春期だからこそ、共感しやすい歌詞ですよね。。(もう自分は歳をとってしまったので、割り切って考えられる部分もあり、こんな風には思わなくなってしまってます、、恐ろしい。)

 

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恋が始まった

合図がした

今日を待ちわびた なんて良い日だ

まだまだ終われないこの夏は

映画じゃない

君らの番だ

映画じゃない

僕らの青だ

『青と夏』

 この夏は映画じゃなく、「僕らの青」だなんて、今は言えないけど、確かに学生時代には思っていたはず、、!夏休みが始まったばかりの頃に、今年の夏は何をしようかと考えるあの興奮も、照れくさいくらいまっすぐに歌にしちゃうのです。

 

この”鋭いワカモノ感覚”と非常に合うのが、サイダーのようにポップで爽やかなメロディライン。まるでご飯と味噌汁のような(爽やかそうではないけどw)、黄金の取り合わせがあってこそ、Mrs. GREEN APPLEは中高生の圧倒的支持を得ているのではないでしょうか。

 

4. さいごに

さて、今年一発目のブログはMrs. GREEN APPLEでした。

2018年にも数々のアーティストがブレイクしたように、今年もまた新たなアーティストと出会えるのかと思うと楽しみですね!

 

今年もたくさんライブに行きたいと思います^^