【楽曲解説】あいみょん「ハルノヒ」の歌詞の意味は?/クレヨンしんちゃん映画主題歌

こんにちは!4月になって1週間が過ぎましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。4月は出会いと別れの季節。進学や就職で家族や友達と離れ離れになったりする一方で、今まで全く接点のなかった新しい人間関係が生まれたりする時期でもあります。世の中全体がどこか浮ついていて、何とも言えない雰囲気になりますよね。

 

さて今日は、あいみょんが4月2日に先行配信を開始した7th Single「ハルノヒ」について、その歌詞の意味を見ていきたいと思います!この曲は、『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』の主題歌となることが発表されています。

 

幅広い世代からの人気が留まるところを知らないあいみょん。新曲にはどのような想いを込めているのでしょうか。

 

▼「あいみょん」オフィシャルサイト

www.aimyong.net

 

▼「あいみょん」について(過去記事)

hogaku-rush.hatenablog.com

1. あいみょんと「クレヨンしんちゃん」の関係とは?

さて、楽曲の説明に入るまえにあいみょんクレヨンしんちゃんの関係について触れておきたいと思います。

デビュー直後のインタビューから本人が語っているので既に有名な話ですが、あいみょんは幼少期、芸術家・岡本太郎に大きなシンパシーを感じると言います。また音楽家としては、吉田拓郎の影響を受けていると語っています。この二つを結びつけるものが、「クレヨンしんちゃん」だったのだとか。

2001年に公開された「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」っていう映画ですね。

この映画は高度経済成長期だった昭和30~40年を描いたシーンが多くて、大阪万博がその象徴として登場するんです。その中で太陽の塔を見たときになぜか強烈に惹かれて。

映画を観た頃、私は小学生だったんですけど、図工の授業でピカソと並んで岡本太郎さんのことを習って、大阪の吹田に太陽の塔が実在することを知ったんです。

岡本太郎さんの話から少しずれちゃうんですけど、この映画からは音楽的な影響も受けてるんですよね。

挿入歌に吉田拓郎さんの「今日までそして明日から」が使われていて、それで吉田拓郎さんを好きになったり、同じく挿入歌のベッツィ&クリスの「白い色は恋人の色」のレコードを大人になってからオークションで落としたり。

ほんまに「オトナ帝国の逆襲」は自分にとって大きな映画ですね。

あいみょん「愛を伝えたいだとか」インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

上記で引用したインタビュー自体は2017年のものですが、それからも取材を受けるたびに「クレヨンしんちゃん」の話をしているあいみょん。それだけに、映画の主題歌を担当することが発表されたときのコメントには作品への愛情が溢れていますね、、、!

 

この度、『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』の主題歌を担当させて頂くことになりました。小さい頃から大好きだった。と、言いますととてもありきたりだとは思うのですが、その大好きな想いを私なりに楽曲でどうにか伝えられたらな。と心から思い、今回のテーマが「家族の愛」と聞いて、野原一家の誕生の物語を楽曲で描けたら!と考えました。

クレヨンしんちゃんはいつも、家族の繋ぐ糸の強さや幸せを教えてくれます。
もちろん、カスカベ防衛隊のみんなとの絆も。
時には間違いつまずくことも。
作品から伝わるメッセージに心を打たれます。
本当に今回の映画に携われて幸せでした。
一生の宝物をありがとうございます。
書き下ろしさせて頂いた「ハルノヒ」が沢山の場所に届きますように。

別の作品にはなるのですが、2001年公開の「オトナ帝国の逆襲」を観て、太陽の塔に出会い、今では岡本太郎の虜です。また、吉田拓郎さんやベッツィ&クリスに出会わせてくれたクレヨンしんちゃんに、頼りないかも知れませんが私からのささやかな恩返しとなれば幸いです。

あいみょん、『映画クレヨンしんちゃん』に主題歌「ハルノヒ」を書き下ろし 4月にCDリリースも - Real Sound|リアルサウンド

 

2. あいみょん「ハルノヒ」の歌詞の意味は?

それでは、ここから「ハルノヒ」の歌詞についてみていきたいと思います。

MVも公開されています。風車や海岸、草原で一人歌うあいみょんの姿が印象的ですね。映画の主題歌でありながら、作品に寄せていないのは意外性があります。

 

あいみょん「ハルノヒ」MV

www.youtube.com

 

▼歌詞

「ハルノヒ」

詞・曲:あいみょん

 

北千住駅のプラットホーム
銀色の改札
思い出話と 想い出ふかし
腰掛けたベンチで

僕らは何も見えない
未来を誓い合った

 

寒さにこらえた木々と猫が
まるで僕らのことで
蕾を咲かせようと実を揺らしてる
素敵に笑っている

焦らないでいい
いつか花束になっておくれよ

 

それまで待っていてね
これからの展開をふたりで
飽きるまで過ごして見るからね
最低限の愛を伝えながら

 

どんな未来が
こちらを覗いてるかな
君の強さと僕の弱さをわけ合えば
どんな凄いことが起きるかな?
ほら もうこんなにも幸せ
いつかはひとり いつかはふたり
大切を増やしていこう

 

北千住駅をフワっと歩く
藍色のスカート
いつになく遠く 遠くに見える
加速する足音

素直じゃないと
いけないような気がしたよ

 

優しさに甘えすぎて
怯えすぎた男の背中に
掌を添えてくれるのはもう
前を歩く君じゃなきゃダメだから

 

どうか未来が
こちらに手を振ってほしい
日々の辛さと僕の体が
だらしなく帰る場所を探し続けている

ほら もうこんなにも夕焼け
いつかの灯り思い出すとき
大切に気づくのでしょう

 

焦らないでいい
いつか花束になっておくれよ
僕らは何も見えない
未来を誓い合った

 

どんな未来が
こちらを覗いてるかな
君の強さと僕の弱さをわけ合えば
どんな凄いことが起きるかな?

ほら もうこんなにも幸せ
いつかはひとり いつかはふたり
いや もっともっと
大切を増やしていこう?

 

住み慣れた駅のプラットホーム
水色に挨拶
「お帰りなさい」と
小さく揺れる影を踏む幸せ

 

この曲は、「野原一家の誕生の物語」を描いたものだと、あいみょん自身が語っています。このブログではそのコメントを念頭に置きつつも、あえて作品ありきの解釈ではなく、言葉の意味を考えながら歌詞を読み解いていきたいと思います!

 

【1】1番Aメロ

北千住駅のプラットホーム
銀色の改札
思い出話と 想い出ふかし
腰掛けたベンチで

僕らは何も見えない
未来を誓い合った

さて、この曲は「北千住駅」という地名から始まります。武道館で最初に聴いたとき、早速「クレヨンしんちゃん」を連想させるワードが出たな、と思いましたが実はこの後そういうキーワードはそれほど多く登場しません。

 

「北千住」は東京都足立区にある駅です。「クレヨンしんちゃん」は埼玉県春日部市が舞台ですが、そこの春日部市を通る鉄道は東武伊勢崎線伊勢崎線北千住駅日比谷線に乗り入れるため、「北千住」は乗り換えの発生するターミナル駅だと言えると思います。プラットホームにあるベンチに腰掛けた「僕ら」は、あいみょんの言葉を踏まえると「野原ひろし」と「野原みさえ」ではないでしょうか。

 

「思い出話と 想い出ふかし」が若干難解です。「思」と「想」を書き分けているところに意味があるかもしれません。「想」は「対象となるものやことの姿を頭の中に描くとき/おもっている相手を慕い求めるとき」に使う漢字だそう。過去あった出来事(=思い出)を思い浮かべながら、相手への想い(=思い出)を伝えたと取れそうです。(実際に、ひろしがみさえにプロポーズしたのは、北千住駅のホームなんだとか。)

これから何が起こるかも分からない未来を、ともに生きていくことを誓ったのだと思います。

 

【2】1番Bメロ

寒さにこらえた木々と猫が
まるで僕らのことで
蕾を咲かせようと実を揺らしてる
素敵に笑っている

焦らないでいい
いつか花束になっておくれよ

 その感動的なシーンで、木々と猫も、蕾を割かせようと実を揺らしたり、素敵にほほ笑んだりと、まるで2人を祝福しようとしているかのようです。唐突なプロポーズに合わせてそんなに急いで蕾を割かせようとしなくていいから、いつかその花をたくさん咲かせ、花束になってほしい。そんな思いを表現しているのではないでしょうか。

 

【3】1番Cメロ

それまで待っていてね
これからの展開をふたりで
飽きるまで過ごして見るからね
最低限の愛を伝えながら

 いつか、花束を贈られるにふさわしいタイミングまで、酸いも甘いも二人で過ごしていく結婚生活が待っています。一緒に暮らしていると、いちいち愛情表現をすることも少なくなります。「最低限の愛」と言っているところに、ひろしの照れのようなものも垣間見えますね。

 

【4】1番サビ

どんな未来が
こちらを覗いてるかな
君の強さと僕の弱さをわけ合えば
どんな凄いことが起きるかな?
ほら もうこんなにも幸せ
いつかはひとり いつかはふたり
大切を増やしていこう

未来で何が起きるかはまだ分からないですが、正反対の二人で共に生きる人生には、ワクワクせずにはいられません。いつかは、一人、二人と家族を持ちたいと、好きな人とのこれからを前にして改めて思うのです。

 

【5】2番Aメロ

北千住駅をフワっと歩く
藍色のスカート
いつになく遠く 遠くに見える
加速する足音

素直じゃないと
いけないような気がしたよ

 ここの解釈が少し難しいですが、スカートの姿を見ているので、1番と同じくやはりひろしから見たみさえの描写ではないかと思います。帰り道、駅で自分に気づいて駆け寄ってくるみさえの姿を見て、嘘をついたり裏切ったりして悲しませたりしてはいけない、素直でいようと感じたのではないでしょうか。

 

【6】2番Bメロ

優しさに甘えすぎて
怯えすぎた男の背中に
掌を添えてくれるのはもう
前を歩く君じゃなきゃダメだから

これは自虐かもしれません。ひろしは自分で自分が優しさに甘え、いろいろなことに臆病な情けない男であると気づいている。そんな自分をいつも励まし正してくれるのは、自分の前を歩いてリードしてくれるみさえではないといけない。そんな風に、相手を必要不可欠な存在に思っているのでしょう。 

 

【7】2番サビ

どうか未来が
こちらに手を振ってほしい
日々の辛さと僕の体が
だらしなく帰る場所を探し続けている

ほら もうこんなにも夕焼け
いつかの灯り思い出すとき
大切に気づくのでしょう

 未来に手を振る、とはよく言いますが、むしろ未来が手を振って近づいてきてほしい。そんなことを思うほど、毎日はストレスに溢れています。どこか自分が帰れる場所を、と常に考えてみても、結局はそれが自分が毎日帰っている自分の家だと気づく。夕方になり夜になり、我が家の灯りが見えた瞬間に、改めて灯りが灯っていることの温かさを実感するのではないでしょうか。

 

【8】Cメロ~ラスサビ

焦らないでいい
いつか花束になっておくれよ
僕らは何も見えない
未来を誓い合った

 

どんな未来が
こちらを覗いてるかな
君の強さと僕の弱さをわけ合えば
どんな凄いことが起きるかな?

ほら もうこんなにも幸せ
いつかはひとり いつかはふたり
いや もっともっと
大切を増やしていこう?

ここの部分は繰り返しになります。最後の「大切を増やしていこう」に「?」がついているのが、一人感じたことではなく語りかけているようで良いですね。

住み慣れた駅のプラットホーム
水色に挨拶
「お帰りなさい」と
小さく揺れる影を踏む幸せ

 最後の一節は、舞台が「住み慣れた駅」に代わっています。ひょっとすると、これは春日部駅のことかもしれません。小さく揺れる影、はおそらく子供のしんのすけのことではないでしょうか。やがて大切な人ができた、ある日の幸せを歌って、歌は終わります。

 

3. まとめ

いかがだったでしょうか。直接的に「クレヨンしんちゃん」に言及した描写は少ないものの、随所にひろしの人柄やみさえの温かさ、そして二人の家族愛のようなものが感じられる楽曲でした。

あいみょんのルーツの一つである、クレヨンしんちゃん」への愛が溢れた一曲になっているのではないでしょうか。

 

新曲も公開されたばかりですが、すでにじわじわと話題が集まっています。

気になった方はぜひ映画を見て、「ハルノヒ」の良さもより深く感じてみてくださいね!!

 

それでは!