【楽曲解説】あいみょん『GOOD NIGHT BABY』の歌詞の解釈とは?

 

2018年に一躍TOPアーティストの仲間入りをした歌手といえば、あいみょんではないでしょうか。

 

『君はロックを聴かない』、『愛を伝えたいだとか』など代表曲がロングヒットし、『満月の夜なら』『マリーゴールド』『今夜このまま』(ドラマ「獣になれない私たち」主題歌)など年内で新曲を次々にリリースしています。

 

若い世代を中心に圧倒的な支持を得ているあいみょん(私の友人にもたくさんファンがいます)。

 

今日は、直近MVが公開となったReebokクラシックのために書き下ろされた新曲『GOOD NIGHT BABY』について、その歌詞の解釈を考えていきたいと思います!

(なんだかんだ、もりもりでお送りします、、 長文注意!!w)

 

あいみょんのリリース情報はこちら

www.aimyong.net

 

1. 楽曲と歌詞について

楽曲は、心地よいテンポが印象的なロックナンバーです。

ライブもジャージやスニーカーなどスポーティーな格好で登場するあいみょん

Reebokのモノトーンコーデもばっちりキマってますね!!

 

▼楽曲はこちら

www.youtube.com

▼歌詞

あいみょん『GOOD NIGHT BABY』

 詞・曲:あいみょん

 

さよならの後が 心地良いように

キスはしないでおこう

ふたりきりだけど

 

さよならの後に

会いたくなるように

キスは我慢しておこう

goodなnightにしなよbaby

 

と吐き捨てたくせに

恋しくなるのは僕さ

息切らし走る 君が手を振る

今日が終わってく

 

ほらもう君に会いたくて

恋しくてこのまま

走り始めた

スタート地点に戻って

後ろ姿の君を見るだけでもいいのさ

愛してる人の後ろ姿にまた

恋するのさbaby

 

街を歩こうか どこまで行こうか

耳にタコな話して ふたりきりでどうだ

 

落ち着け 落ち着け

冷静を装って

キスは我慢しておこう

goodなnightにしたいよ今日は

 

と吐き捨てたかった

でもカラダは馬鹿正直で

息を飲み歩く 君は笑ってる

時が止まりそうだ

 

ほらもう君に触れたくて

恋しくてこのまま

手を引き寄せても

いいかな なんて考える

後ろ姿の君が 手を振り笑う君が

愛しい人だと 強く頷いた

君が好きだ

 

これからの僕らの 未来に期待したい

いつか叶えたい 夢ばかりの今を

とりあえず君と過ごしたい

 

ほらもう君の横顔が恋しくて

このまま 抱きしめた勢いで

なんて考える

後ろ姿の君が 手を振り笑う君が

愛しい人なんだ まだまだずっと

これからもずっとずっと

大切さ

 

ほらもう君に会いたくて

恋しくてこのまま

走り始めた スタート地点に戻って

後ろ姿の君を 見るだけでもいいのさ

愛してる人の 後ろ姿にまた

恋するのさbaby

Good night baby

 

2. 歌詞の解釈について

それでは、ここから具体的に歌詞を解説していきたいと思います。

【1】1番Aメロ

さよならの後が 心地良いように

キスはしないでおこう

ふたりきりだけど

 

さよならの後に

会いたくなるように

キスは我慢しておこう

goodなnightにしなよbaby

 この曲は、恋人同士の二人の関係性を、一方から語っている構成になっています。

普通に考えると一人称が「僕」なので、主人公は男性でしょう。

あいみょんは男性目線の曲が多いのも特徴ですね。

 

さて、いきなりですが、男女の仲には「駆け引き」がつきもの

まだ付き合う前でも、恋人になっても互いに印象操作はたくさんしますよね。

男女の関係性は、繊細なコミュニケーションで成り立っています。

お互い言わなくてもいいことは言わなかったり、あえて本心じゃないことをいったり…。

(もう自分も25歳なんですが、毎回恋愛のたびに疲れますw)

 

主人公は別れた後の感触を、「心地よ」く終われるように、あえてキスを我慢しています。二人の時間の最後を、キスの温もりで締めると寂しくなるのでしょう。さっぱりと別れて、次回のデートが楽しみになるように、「僕」はキスはしないようにします。

 

【2】1番Bメロ

と吐き捨てたくせに

恋しくなるのは僕さ

息切らし走る 君が手を振る

今日が終わってく

ただ、Bメロに入るといきなり、それは「僕」の強がりだということに気づくでしょう。あたかも相手の感じ方をコントロールしているような口ぶりですが、実際は結局自分の方が我慢できない。

彼女が去っていくのを追いかけて手を振って、二人の時間が終わっていきます。

(息を切らすほど走って、君も手を振っているので、バスか何か乗り物に乗って家に帰っていくのでしょうか。)

 

【3】1番サビ

ほらもう君に会いたくて

恋しくてこのまま

走り始めた

スタート地点に戻って

後ろ姿の君を見るだけでもいいのさ

愛してる人の後ろ姿にまた

恋するのさbaby

そして1サビに入りますが、ここでこの歌のKeyになる、去っていく「君」とそれを見つめる「僕」の構図が初めて登場します。

 

このシーンについてどう解釈するかでこの曲の受け取り方が変わりそうですが、自分は情景描写ではなく、「僕」と「君」の常日頃の関係性を歌った比喩ではないかと考えています。

 

多分、「僕」は恋している「君」を"追いかけている"のです。もちろん、本当に走っているというよりは、「君」には夢や目標があり、それに向かって日々全力で頑張っている。

 

一方、恋人の「僕」は、二人の時間の終わり去っていく「君」を強がって引き留められず、ただ追いかけるしかない。「君」がどこかに向かって走っていくのは寂しいけれど、そんな君の後ろ姿に惹かれ、魅力的に感じてまた好きになるのではないでしょうか。

 

【4】2番Aメロ

街を歩こうか どこまで行こうか

耳にタコな話して ふたりきりでどうだ

 

落ち着け 落ち着け

冷静を装って

キスは我慢しておこう

goodなnightにしたいよ今日は

さて、また別のデートの日にシーンが切り替わります。

この日は「僕」にとって「goodなnightにしたい」日なので、一緒に夜まで過ごしたい日なのでしょう。

(「おやすみ」と「夜を一緒に過ごす」を"good night"で使い分けているのはさりげないですがセンスがありますよね、、!)

キスをしたい衝動に駆られています。

 

【5】2番Bメロ

と吐き捨てたかった

でもカラダは馬鹿正直で

息を飲み歩く 君は笑ってる

時が止まりそうだ

でも、結局言いたいことをちゃんと言えないのが「僕」なのでしょう。「言いたい」と「言えない」の板挟みになり、息を飲んで歩いているのが不自然で、多分「君」にも悟られている。男としては、色々な感情が渦巻いて「時が止まりそう」になります。(分かりますw)

 

【6】2番サビ

ほらもう君に触れたくて

恋しくてこのまま

手を引き寄せても

いいかな なんて考える

後ろ姿の君が 手を振り笑う君が

愛しい人だと 強く頷いた

君が好きだ

2番の歌詞も、1番に同じく日々の二人の関係性を描写しています。「君」に触れたいかと思ったらその時に、「君」の手を引き寄せてもいいかなといつも「僕」は考えます。

 

だけどそんな風に自分本位に考えると、いつも「後ろ姿の君」が頭をよぎる。自分のことも好きだけれどそればかりではなく、自分以外の惹かれるものに向かって走っていく「君」の姿が好きだということも「僕」はわかっているのです。

 

自分の気持ちの高ぶりを「君」にぶつけたい「僕」と、自分以外にも大切なものがある「君」。「僕」の気持ちを真っ正直にぶつけてしまうとバランスが崩れそうな気がして、素直になれないのが甘酸っぱくて、ちょっと痛いです。。

 

【7】Cメロ

これからの僕らの 未来に期待したい

いつか叶えたい 夢ばかりの今を

とりあえず君と過ごしたい

こんな関係性だということを、「僕」も「僕」自身で気づいているからこそ、これから先どうなるんだろうという不安に駆られます。

「君」と将来叶えたい夢ばかりがあるけれど、それをいつか叶えられるのか…そんな不安を感じながら、とりあえず君とずっと一緒に居たいと思っているのでしょう。

 

【8】ラスサビ

 ほらもう君の横顔が恋しくて

このまま 抱きしめた勢いで

なんて考える

後ろ姿の君が 手を振り笑う君が

愛しい人なんだ まだまだずっと

これからもずっとずっと

大切さ

 

ほらもう君に会いたくて

恋しくてこのまま

走り始めた スタート地点に戻って

後ろ姿の君を 見るだけでもいいのさ

愛してる人の 後ろ姿にまた

恋するのさbaby

Good night baby

最後のサビでも、描かれるのはやはり「君」の後ろ姿。後ろ姿の「君」が好きだから、大切にしたいという想いが歌われます。

「君」は「僕」ばかりを見ているわけではないからこそ、「僕」が強引に「君」を引き寄せたらどうなってしまうんだろうという気持ちに苛まれる。

この関係を壊したくなくて、今は「後ろ姿の君を見るだけでもいい」と思うのでしょう。

 

3. あいみょんと、「僕」と「君」の関係性~変わったもの、変わらないもの~

ここまで長々と『GOOD NIGHT BABY』について見てきました。

 

「僕」以外にも惹かれるものがある「君」と、「君」への気持ちを全てぶつけられない「僕」。危うくて脆いバランスの上で成り立っている、付き合いたての男女の少し甘酸っぱい歌だと自分は解釈したのですが、皆さんはどうでしょうか?

 

さて、少し話が変わりますが、この『GOOD NIGHT BABY』の主題になっている「僕」と「君」の二人の関係性の世界は、これまでのあいみょんの楽曲の中に頻繁に登場しています。この『GOOD NIGHT BABY』は、これまでと何が共通していて、何が新しいのでしょうか。

 

・共通する主題は"「僕」と「君」という関係性の「壊れやすさ」"

 2018年8月にリリースされた『マリーゴールド』。この曲と『GOOD NIGHT BABY』のテーマが、かなり類似しているなと思われた方もいるかもしれません。

 

あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube

麦わらの帽子の君が

揺れたマリーゴールドに似てる

あれは空がまだ青い夏のこと

懐かしいと笑えたあの日の恋

 

「もう離れないで」と泣きそうな目で見つめる君を

雲のような優しさでそっとぎゅっと

抱きしめて 抱きしめて 離さない

『GOOD NIGHT BABY』は去っていく「君」とそれを見つめる「僕」という構図でしたが、『マリーゴールド』は「離れないで」という「君」と「離さない」という「僕」。いずれも二人の関係性、もっといえば距離感に主眼が置かれています。

 

さらに、注目するのはCメロの展開。『GOOD NIGHT BABY』と同様、主人公は未来へ想いを馳せています。

 

遥か遠い場所にいても

繋がっていたいなあ

2人の想いが

同じでありますように

 『マリーゴールド』も『GOOD NIGHT BABY』も、主人公は「君」のことが大好きで、「君」と一緒に居られることを幸せに感じています。

ただ、一方で二人の関係に一点の曇りもないわけではなく、幸せだからこその脆さ、距離感が近いからこその危うさもはらんでいます。

 

自分はまさにこの点こそ、あいみょんが「僕」と「君」の関係性を描くうえで得意としている主題ではないか、と考えています。だからこそ、幸せな今だけでなく、これから先の未来を想像せずにはいられないでしょう。

『ふたりの世界』という曲にも、この二人の関係性の"壊れやすさ"がより直接的に表現されたフレーズがあります。

 

あいみょん - ふたりの世界 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube

サヨナラって言わないでって言うくせに

いつも私が「さよなら」を告げるのにね

自己中心的に進む恋愛とこの先の不安が

混ざりあって 抱き合って 今がある

 

・二人の関係性に"深さ"が出てきた(『貴方解剖純愛歌~死ね~』から『GOOD NIGHT BABY』まで)

 あいみょんがリリースした曲の中で最も古いのが『貴方解剖純愛歌~死ね~』という楽曲です。ストリート時代から歌っているこの曲は10代の頃に書かれた曲です。

主題はこの曲から「あなた」と「私」なのですが、ここで歌われている内容は今よりももっと直情的で過激です。

 

あいみょん「貴方解剖純愛歌 〜死ね〜」LINEで作ったリリックムービー - YouTube

あなたの両手を切り落として 私の腰に巻き付ければ

あなたはもう二度と 他の女を抱けないわ

 

あなたの両目をくりぬいて 私のポッケに入れたなら

あなたの最後の記憶は 私であるはずよね

 

逃さないよ 離さないよ 私だけのあなたになるの

今すぐ部屋においで

 

ねえ?どうしてそばに来てくれないの

死ね。私を好きじゃないのならば

このくらい、好きな相手に憎悪にも似た感情を抱いてしまうこともありますがw、あんなに控えめだった『GOOD NIGHT BABY』から考えると嘘のように自分本位で、相手に想いを突き付けるような迫力があります。

 

それから2年後にリリースされた『愛を伝えたいだとか』。

 

あいみょん - 愛を伝えたいだとか 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube

結局のところ君はさ

どうしたいの

まじで僕に愛される気あんの?

 このフレーズが自分は一番好きなのですが、やはり「君」にダイレクトに気持ちを聴くあたり、ストレートさが目立つ印象です。

 

10代に作られた曲で目立つのがあいみょんのある意味での幼さだとすれば、『GOOD NIGHT BABY』で変わったものが見えてきます。自分はそれを、今回の読み解きの中で見出した"「僕」が「君」を見る視点"であると考えています。

 

「君」のことしか見えない「僕」にならないようにしよう、という、「僕」を俯瞰して見るメタレベルの「僕」の視点。これがあるからこそ、二人の関係に今までにはないような"深さ"が感じられるのではないでしょうか。

 

4. まとめ

好き勝手に長々書いてしまいましたが、いかがだったでしょうか。

 

『GOOD NIGHT BABY』以外にも、ドラマ「獣になれない私たち」の主題歌担当や映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」への主題歌提供、そして18日に映画「あした世界が終わるとしても」の主題歌&挿入歌の担当が発表されるなど、今まさにノリにノッているあいみょん

 

今後ともメディアに話題を振りまくあいみょんから、目が離せなそうですね!!