【ライブレポート】Official髭男dism(ヒゲダン)/Travelerホールツアー@パシフィコ横浜

年始から2週間も経ってしまいました、明けましておめでとうございます!
2019年はブログを書く書くと言って、結局後半ほぼ筆を執らなかったので、今年こそ頑張ります笑

 

さて、2020年のライブ初めとして、Official髭男dismのツアーに行ってきました。

2019年は『Pretender』がストリーミング・ソング・チャートで12週連続一位となり、紅白歌合戦にも初出演するなど飛躍の年となったヒゲダン。彼らについてこのブログでも何度か紹介してきました。

 

hogaku-rush.hatenablog.com

hogaku-rush.hatenablog.com

 

思えば、NHKホールでのライブにただ感動したのが2019年1月。

(その時の興奮冷めやらぬブログは、以下を見てみてください!)

hogaku-rush.hatenablog.com

 

あれから約1年経ち、バンドとして見える景色もだいぶ変わった2020年、

今年はどんなライブになるのかという期待を胸に会場のパシフィコ横浜に向かいました。

 

で、どんなライブだったのかと言うと、、結論、やはり「最高」と言うしかない2時間半でした。これだけ注目度も高いバンドで、期待値を超え続けるには相当のプレッシャーもあるのではと思うのですが、しっかりと過去最高を更新する素晴らしいLIVEだったと思います。いつも通り、興奮を引き摺ったままのテンションではあるのですが、今日のライブの感想を、自分の言葉で書いてみたいと思います!

 

1. 今回のライブについて 

今日見たLIVEは、"Official髭男dism Tour 19/20 -Hall Travelers-" 。2019年10月にリリースされたメジャー1stアルバム「Traveler」を引っ提げて全国29箇所を巡るホールツアーで、1月13日(月)で22公演目になります。

 

officialhigedandism.ponycanyon.co.jp

 

このアルバムは、大ヒット曲『Pretender』『宿命』リード曲『イエスタデイ』など、まさに終始 "キラーチューン祭り" なのですが、メインで作詞作曲を担当する藤原聡(Vo, Key)以外に、小笹大輔(Gt, Cho)・楢崎誠(Ba, Sa)も作詞作曲を行うなど、新たな試みも聴きどころのアルバムになっています。今回のツアーに行かれる方は、是非聴いてから参戦されることをおすすめします。

 

2. セットリスト(1/13 パシフィコ横浜 

セットリストはこんな感じ。「Traveler」からだけでなく、インディーズ時代の楽曲やライブの定番曲から幅広く演奏してくれました。

 

1.イエスタデイ
2.Amazing
3.Tell Me Baby
4.115万キロのフィルム
5.バッドフォーミー
6.ビンテージ
7.Rowan
8.最後の恋煩い
9.旅は道連れ
10.ブラザーズ
11.FIRE GROUND
12.ノーダウト
13.Stand By You
14.Pretender
15.ラストソング

 

En.
16.日曜日のラブレター
17.異端なスター
18.宿命

 

3. 過去最高を更新したLIVE!キーワードは「没入」と「共鳴」 

さて。ここから今日のライブの感想を書いて行きたいと思います!


2019年1月のNHKホール、7月の日本武道館とワンマンLIVEも過去に2回見ていますが、その時に感じたのは、「生音に浸れる魅力がある」ということ。今回のライブではその時感じた良さはそのままに、また新たな魅力が付け加わったような印象でした。

言葉に迷ったのですが、その新たな魅力を一言で表すなら「没入と共鳴」とも言うべきものかも知れません。もう少し一般的な言葉で表現するなら、「LIVE感」と言うべきものでしょう。

 

ヒゲダンの曲はポップで聴きやすく、音源だけ聞いても十分魅力的に感じられるバンドです。ただ、今日のLIVEは、その空間にいるからこそ味わえる良さを余すところなく感じられる、素晴らしい空間でした。そう感じられた理由こそ、この「没入と共鳴」という感覚によるものだと思うのです。

 

【ライブ前半】
前半のハイライトは、何と言っても『Amazing』『バッドフォーミー』『ビンテージ』など、ブラスの生音を生かした迫力ある演奏だと思います。ヒゲダンは、毎回この生音がすごい。前半から、一気に楽曲の世界に引き込まれます。ジャズやブラックミュージックなど、洋楽にバックボーンを感じるアレンジには、圧倒的なオシャレさと程よいセクシーがあり聞き惚れてしまいます。

 

分かりやすい曲が好まれる昨今のJ- Popにあって、音が何個も重なるヒゲダンの音楽はそれほど単純ではない(むしろ、リズムの複雑さやアレンジの多様さなど、つくづく音楽偏差値の高いバンドだと毎回思います)。しかしだからこそ、毎回ライブを見るたびにこんな音が鳴っていたのか、という発見があるのがヒゲダンのLIVEの楽しさの一つです。ピアノ、キーボード、パーカッションやブラス...いずれも、欠かせない音なのですが、それぞれのパートがこの音楽をどのように盛り上げて全体としての音楽が出来上がるのかが、生音の中に身を預けることで少しずつ見えてきます。この感覚が、何とも言えない快感でした。

 

そして言うまでもないことですが、メンバー・サポートのバンドの演奏力は素晴らしいものがあります。縦のリズムも本当にズレない。会場にいる全員が、自然とその場のノリに引き込まれるような心地よさも、ヒゲダンのLIVEの魅力の一つでしょう。

 

今回のLIVEでは、演奏能力の高さだけでなく、表現力の高さも際立っていました。例えば、7曲目の『Rowan』。この曲もジャジーなアレンジなのですが、ヴォーカル・藤原の(普通の曲には見られないような)少しか弱げな歌い方は、この曲の虚無感をよく表現していました。青を基調にした照明と相まって、幻想的な雰囲気や浮遊感は、見事としか言いようがありません。

 

8曲目の『最後の恋煩い』まで、短いMCを挟んでほぼノンストップで演奏は続きましたが、全く疲れず自然にLIVEと溶け込んでいくことができました。ここでお話ししたこの一連の感覚が、前半で感じた「没入」というテーマです。

 

【ライブ後半】
藤原の寝坊の話など、盛り上がったMCを経てLIVEは後半戦へ。後半戦では、メンバーの "芸達者" さが特に光ったなと感じました。

 

サポートメンバー・アンディーと楢崎のサックスのセッションで始まった『旅と道連れ』以降は、前半戦のお洒落な雰囲気から一転、パワフルな楽曲の連続での畳み掛けが素晴らしいです。自分は特に、後半でメンバー4人が全員2つ以上の楽器を演奏しているのがヒゲダンの引き出しの多さを表しているように感じました。

 

そもそも、普通のバンドではメンバーが演奏する楽器が固定されているので、立ち位置やアレンジもある程度決まったものになることが普通です。今回のヒゲダンの場合、演奏する楽器を変えながらサポートメンバーを含む9人の編成自体が柔軟に変わっていくので、演奏に動き・変化が出ます(藤原:ヴォーカル・ピアノ、小笹:ギター・バスドラ、楢崎:ベース、サックス、コーラスは全員で演奏していました)。このフォーメーションの変更は、ヒゲダンならではでできる楽しみ方ではないでしょうか。

 

前半がじっくり音に没頭する「静」のパートだとすると、後半は動きを楽しみ、その空間にいる全員の息を合わせる「動」のパートと言えるかも知れません。前半と後半で、また違ったヒゲダンの良さを味わうことができました。

 

中でも『Stand by You』の手拍子とコーラスは圧巻でした。この曲自体は1年以上前からLIVEで披露されていた曲ですが、会場も大きくなり、観客の息も合ってきたことで、曲自体の魅力がより増幅しているのが音の渦の中で感じられました。

曲が、時間を掛けて成長しているー 今までにない迫力の中に、ヒゲダンの1年間のパワーアップを見た気がします。これが、空間の全員が、声や音、気持ちを「共鳴」できるという楽しさだと感じました。

 

4. まとめ 

ここまで、「没入と共鳴」というキーワードで、今日のライブがなぜ素晴らしかったかについて語ってみました。ライブに行かれた方、いかがだったでしょうか?

 

音源も素晴らしいものもありますが、音源以上の魅力や新しい楽しみ方を必ず見せてくれるのがヒゲダンのLIVEだと思うので、ワンマン・フェス問わず、今年もたくさん聴いて、LIVEに足を運ぼうと思います。ヒゲダンファンの皆様、今年も一緒に楽しみましょう!

まだLIVEに行ったことがない方、ぜひ一度行ってみてください。good musicをたくさん浴びて、元気を貰えると思います!!

 

それでは、ヒゲダンの皆様、本年も、昨年以上のご活躍をよろしくお願いします!笑

【ライブレポート】Official髭男dism武道館ライブ/ニューアルバム・ホールツアー発表!

お久しぶりです!

すっかりご無沙汰してしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、考えればつくづくあっという間の出来事でした。

Official髭男dismが5月15日にNewSingle「Pretender」をリリースしてから、あれよあれよという間にYouTubeやストリーミングサービスの再生回数が伸び、6/3付のオリコン週間ストリーミングランキングで1位を獲得。それから、6週連続で1位を更新し続けています。

 

www.oricon.co.jp

 

その間にも、髭男の人気は高まるばかり。このブログのアクセス数も、(更新を滞っていたのに)うなぎ登りに伸び続けました(笑)

 

hogaku-rush.hatenablog.com

 

さて、そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの髭男が今日初めて乗り込んだのは、音楽の聖地日本武道館NHKホールにて追加公演が発表されたときから、何としても欲しいと思ったチケットを手に入れ、参戦してきました(あの時は、これほどまで希少価値が高まっていると思いませんでしたが)!

今日はライブの興奮冷めやらぬ中、改めて気づいた髭男の魅力をショートレポートにしてお届けします。(いつもと違い、ちょっと音楽雑誌風にしてみましたw)

 

セットリスト

1. 115万キロのフィルム

2. 異端なスター

3. Tell Me Baby

4. 犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!

5. 始まりの朝

6. ブラザーズ

7. コーヒーとシロップ

8. バッドフォーミー

9. LADY

10. 55

11. Rolling

12. あかつきのget away

13. FIRE GROUND

14. Pretender

15. ノーダウト

16. 宿命

 

En

17. Amazing

18. Stand by you

 

ライブレポート

18時の開場を前にして、九段下駅の改札は熱気であふれている。限定のライブグッズは早々に完売。開演前から、今日のライブに懸けるファンの意気込みが伝わる。

 

客席は360度を解放しており、アリーナの北側にステージがある。今回もブラスバンドの編成のため、ステージは広い。奥には「HGDN」のネオンが設置されている。前回のNHKホールでは照明の使い方も見事だった。今回は、どのような演出なのだろうかと、期待が膨らむ。ファン層は男女半々くらいだろうか。前回のライブよりも、やや年齢層は上がっているように感じられる。直近の大ヒットで、ファン層の幅も広がったのかもしれない。

 

定刻より10分ほど遅れた19:10に、「115万キロのフィルム」から演奏がスタート。「異端なスター」「Tell Me Baby」とライブの定番曲・人気曲が続き、早速会場が盛り上がりを見せる。この後にも触れるが、何といっても髭男の一番の魅力は、10人以上の編成のバンドが織りなす楽曲のバリエーションの多彩さにある、と私は思う。ピアノを前面に生かした「115万キロのフィルム」・サックス主体の「異端なスター」・打ち込みが特徴的な「Tell Me Baby」と、カラーの違うこの3曲で、一気に髭男らしい音の世界に引き込まれる。

 

そしてもう一つ大きな魅力は、髭男の楽曲がどれもダンサブルで、会場全体で歌える一体感も兼ね備えていることだろう。「犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!」では、緩やかなリズムに身体を揺らしながら、サビ前の「Uh」で大合唱。楢崎のコールアンドレスポンスに合わせて始まった「ブラザーズ」では、サポートも含めたバンドメンバー全員が集まりながら、観客と一緒に手を上げて踊って歌う。過去最大のキャパシティのはずなのに、むしろ一体感がこれまで以上に感じられ、非常に心地良い。

 

「2012年7月7日にデビューして、今日はちょうど7年と1日目」。そんなMCの後に披露されたのは、藤原が「この曲はまさか武道館で演奏されるなんて思っていなかっただろう」と話した古くからの名曲「コーヒーとシロップ」。ライブで披露されるのは珍しい「55」の演奏後は、ここまでで一番の歓声が上がった。

 

余談だが、今日のライブでは、この「55」の演奏後の歓声が強く印象に残っている。ブラスアレンジを最大限効かせた「バッドフォーミー」の直後に、ブラックミュージックの影響を色濃く受けた「55」をあっけらかんと披露する。(今日こそ演奏がなかったが、ライブの定番曲「ESCAPADE」にマッシュアップされているのは、Earth, Wind&Fireの超有名曲「September」だ。)

才能を存分に生かし、様々なバックボーンの音楽を取り入れながらも、どれもが今風で、非常に聴きやすい。我々が常に驚かされてきたのはどこまでもポップで髭男っぽくありながら、毎回新しい顔をした彼らの楽曲とライブパフォーマンスだ―そんなことを、Bravoのニュアンスが混じったこの大歓声の中で感じた(その意味で、髭男は非常に売れ線のポップスでありながら、音楽偏差値が非常に高いバンドともいえるのである)。

 

 「Rolling」、CDにない楽曲「あかつきのget away」、ギターヒーロー大輔が渾身のソロを見せる「FIRE GROUND」と続き、14曲目に披露しのは大ヒット中のシングル「Pretender」。ギターリフや間奏のシンセサイザーのソロが、曲の中で歌われた叶わぬ恋の切なげなイメージと良く合っている。冒頭に紹介した「HGDN」のネオンも、MVを思わせるように儚げに光る。

 

そしてライブはいよいよ終盤。「Pretender」と同じドラマ『コンフィデンスマンJP』の主題歌であり、彼らメジャーデビュー後の最初のシングルとなった「ノーダウト」では、会場に銀テープが降り注ぎ盛り上がりは最高潮に。この夏の熱闘甲子園のテーマ曲「宿命」を披露し、ライブ本編は幕を閉じた。

 

本編終了後5分ほど経過したところで、改めてアンコールでメンバーが登場。「重大発表があります!」との紹介に、会場のファンから思わず大歓声が上がる。ところがここで、重大発表の内容を記した垂れ幕が引っ掛かって降りてこないというハプニングが発生。メンバーが必死にMCで繋ぎ、仕切り直して再度カウントダウン。「10月のニューアルバム発売」・「全国29か所ホールツアー」の2つが発表された。

 

アンコールでは、「これからも、みんなを笑顔にする音楽をずっと続けていきたい」とのMCに合わせて、「Amazing」「Stand by you」の2曲を演奏。特に最後の「Stand by you」は、1万人以上のクラップと大合唱が、地鳴りのように聞こえ、まさに圧巻の一言だった。

 

毎度毎度、Official髭男dismのライブは2時間弱が一瞬のようにして過ぎ去ってしまう。それだけ、いろいろな音の中に埋もれる心地よさを感じられる空間なのである。今回、過去最大規模の日本武道館でありながら、いつもと変わらぬ、むしろいつも以上の一体感で会場を熱気に包んだ髭男。これから始まるホールツアー、夏フェスも、きっと素晴らしいステージを見せてくれるはずだ。

【楽曲解説】Official髭男dism「Pretender」の歌詞の意味・解釈は?/髭男の新曲は甘く切ないラブストーリー

さて、今日はOfficial髭男dismが先日MVを公開した新曲「Pretender」について、その歌詞の意味を徹底解釈していきたいと思います。髭男といえば、先日のNHKホール公演が素晴らしすぎてそれから超長期間余韻に浸っております、、!

 

Official髭男dismに関する以前の記事

hogaku-rush.hatenablog.com

hogaku-rush.hatenablog.com

 

その時の印象そのままに、今回も素晴らしい新曲をリリースしてくれています。皆さんもリリース前からMVを聴き込んで、是非覚えてカラオケで歌っちゃってください^^

それでは、その歌詞の意味を一緒に見ていきましょう!

 

1. 楽曲について

今回紹介する楽曲「Pretender」は、2019年5月15日にリリースされる、Official髭男dismの2nd Singleです。映画『コンフィデンスマンJP』の主題歌にも抜擢されています。

Official髭男dismは同じく『コンフィデンスマンJP』のドラマ版の主題歌を2018年に「ノーダウト」で務めていますが、まさに「ノーダウト」が出世曲となって、徐々に知名度を広げてきました。その「ノーダウト」の場合は、長澤まさみ演じる天才詐欺師が主人公、という「コンフィデンスマンJP」のストーリーに合わせて「嘘」をテーマとした楽曲になっていました。

その意味でも、「Pretender」が今回の映画を踏まえてどのような楽曲に仕上がっているのかが、非常に楽しみなところです。

 

 Official髭男dism「Pretender」MV

www.youtube.com

 

ちなみに、映画『コンフィデンスマンJP』の舞台は香港。MVの撮影地は台湾・台北だそうですが、ギラギラと光るネオンの世界観は映画を意識したものでしょう。

ミュージックビデオは全編にわたり台湾で撮影されており、台湾の夜景をバックに背負った彼らの演奏シーンや、台湾の現地モデル、俳優のキャストによるドラマシーンも収められている。

Official髭男dism、全編台湾ロケの「Pretender」MV公開。先行配信もスタート | BARKS

 

また、今回の『コンフィデンスマンJP』は副題が "ロマンス編"。楽曲の中にも「ロマンス」のフレーズが登場します。その意味でも、映画も合わせて見るとより楽しめるかもしれません。

confidenceman-movie.com

 

2. 歌詞について

それでは、「Pretender」の歌詞を見ていきましょう。

▼歌詞

「Pretender」

 

君とのラブストーリー
それは予想通り
いざ始まればひとり芝居だ
ずっとそばにいたって
結局ただの観客だ


感情のないアイムソーリー
それはいつも通り
慣れてしまえば悪くはないけど
君とのロマンスは人生柄
続きはしないことを知った


もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな そう願っても無駄だから


グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも
甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」


誰かが偉そうに
語る恋愛の論理
何ひとつとしてピンとこなくて
飛行機の窓から見下ろした
知らない街の夜景みたいだ


もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
いたって純な心で 叶った恋を抱きしめて
「好きだ」とか無責任に言えたらいいな
そう願っても虚しいのさ


グッバイ
繋いだ手の向こうにエンドライン
引き伸ばすたびに 疼きだす未来には
君はいない その事実に Cry…
そりゃ苦しいよな


グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも 甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」


それもこれもロマンスの定めなら 悪くないよな
永遠も約束もないけれど
「とても綺麗だ」

 

【1】1番Aメロ

君とのラブストーリー
それは予想通り
いざ始まればひとり芝居だ
ずっとそばにいたって
結局ただの観客だ

この曲は最初から、バッドエンドを予感させるフレーズで始まります。君との恋愛は、始まる前に自分が思っていた通り、ひとり芝居だった。距離感はずっと近いけれど、二人が本気になることはなく、結局は他人事のように真剣になれなかったのでしょう。

2人のうち、観客になっているのは君と僕のどちらか ― 断定はできませんが、この後僕が君への未練を募らせている様子を見ると、演じていたのは僕で、観客は君ではないかと考えられます。

 

【2】1番Bメロ

感情のないアイムソーリー
それはいつも通り
慣れてしまえば悪くはないけど
君とのロマンスは人生柄
続きはしないことを知った

「ごめんね」という二人の間のコミュニケーションにも、感情や熱はなくて、あまりにドライです。そんな状態がいつしか日常になってしまっているのでしょう。慣れれば特に何を思うことはないのかもしれませんが、僕と君の間には、「ロマンス」という感情は成立しないのだと、ふとした瞬間に気づかされるのです。

 

【3】1番Cメロ

もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな そう願っても無駄だから

まるで芝居のように、自分自身のキャラクター設定や二人の関係を選べたら、この「ロマンス」にはまだ可能性があったのかもしれません。ただ、実際は君と僕とでは「世界線」が違っていて、あらゆるものが決して交わることがありません

性格も価値観も違ったら、と「たら」「れば」を繰り返すこと自体が、無駄なのは自分も一番理解しています。

 

【4】1番サビ

グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも
甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」

どんなに工夫したところで、僕も君との関係が続かないことは分かっているのでしょう。だから、自分から君に「グッバイ」を告げます。運命の人かもしれないと思い、必死にそうなろうとして、でもなれなかったから、この判断は「辛いけど否めない」ものでしょう。

ただ、思い入れもあるからこそ、分かっていてもきっぱり離れることもできない。髪に触れると、君の感覚がよみがえり、「痛い」と「甘い」の相反する思いが胸を締め付けます。

これだけの苦しい思いを抱えるなんて、僕にとって君はどのような存在なのか。答えは自分の中にもないし、(もっとじっくり考えれば出るかもしれないけれど)「分かりたくも」ありません。この「ロマンス」が成立しなくても、目の前の君が「綺麗」であるということだけが事実なのが、なんとも悲しいです。

 

【5】2番Bメロ

誰かが偉そうに
語る恋愛の論理
何ひとつとしてピンとこなくて
飛行機の窓から見下ろした
知らない街の夜景みたいだ

さて、そんな風に悩み苦しむ僕にとって、「誰かが偉そうに語る愛の論理」は、遠くにうすぼんやりと見える程度で、何も具体的にイメージできないような、「知らない街の夜景」程度のものにしか思えません。

 

【6】2番Cメロ

もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
いたって純な心で 叶った恋を抱きしめて
「好きだ」とか無責任に言えたらいいな
そう願っても虚しいのさ

改めて、二人の「世界線」を選ぶことができたらどんなに良かったでしょう。ただ、自分の気持ちに任せて、「好きだ」と後先考えず「無責任に」言えたら良いけれど、そう願っても叶わないとわかっているから、虚しい気持ちが募るばかりです。

 

【7】2番サビ

グッバイ
繋いだ手の向こうにエンドライン
引き伸ばすたびに 疼きだす未来には
君はいない その事実に Cry…
そりゃ苦しいよな

今手を繋いでいても、この「ロマンス」に終わりは見えている。取り繕って引き延ばしても、この先の未来には君はいないことが分かっていて、その事実を想像すると苦しくて、思わず泣けてしまうのでしょう。

 

【8】ラスサビ

グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも 甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」


それもこれもロマンスの定めなら 悪くないよな
永遠も約束もないけれど
「とても綺麗だ」

最終サビは1番サビの繰り返しとなり、最後のフレーズに入ります。

恋が始まり終わるまでの一連が「ロマンス」というものであれば、なんだかんだ「悪くない」 と思える。永遠や約束というような、聞き心地のいい結末は待っていないけれど、この「ロマンス」がどうなったとしても君が「とても綺麗だ」ということだけは、やはり確かなこととして残っているのでしょう。

 

3. 「Pretender」の聴きどころは?

さて、ここまで「Pretender」の歌詞についてみてきましたが、如何だったでしょうか?続いて、楽曲の聴きどころを、個人的にピックアップしてみました!

宜しければ、合わせて読んでいただけると嬉しいです^^

 

①全体的にエレクトロなサウンド

髭男は「ピアノPOPバンド」を自称している通り、楽曲の構成がピアノを主体に組まれることが多いです。ピアノを入れるとより曲全体がナチュラルで、自然な印象になると思うのですが、今回「Pretender」はピアノに加えて、電気的なシンセサイザーの音を多めに取り入れています。

その中でも最も印象的なのは、間奏部分かもしれません。通常ギターソロが入るようなポイントですが、今回はシンセサイザーがその役割を担っています。

これって髭男ではあまり聴かない、新しい音ですよね。リリースするたびに、髭男の良さはブラさないながらも、必ず何か新しさを加えてくるのは本当にさすがだと思います。人によって、どんな音なのかの印象が違いそうなのも面白いですね。

自分は何かVTRを早回しにした時の音にも似ているような気がして、別れを目前にした僕の中で、君とのこれまでのあれこれの記憶が走馬灯のように巡っているような光景を思い浮かべてしまいました、、(笑)考えすぎかもしれませんが、、(笑)

 

②ストレートな歌詞の中にある含み

今回歌詞を読み込んでいくと、内容自体はストレートでそれほど難しい箇所はなかったと思うのですが、ところどころに「含み」というか、引っ掛かりの仕掛けがあるようにも感じました。

たとえば、サビの中にある「それじゃ僕にとって君は何?」というフレーズ。「君にとって僕は何?」であれば理解しやすいですが、"僕"目線の曲の中でこのフレーズを考えると少し不思議な気もしてきます。

「僕にとっての君」は、最初は「想いを寄せる人」であり、やがて「彼女」になり、これから先別れてしまったら「何でもないただの他人」になる。それが普通の解釈ですが、ひょっとしたらもうずいぶん前に関係性が壊れている以上、すでにずっと前から「僕にとっての君」はただの「彼女のような人/彼女のように思いたい人」だったのかもしれません。僕も薄ぼんやりとそう気づいていて、よくよく考えると否が応でもその結末に辿り着いてしまう。だから「分かりたくもない」と思ってしまうのだとしたら、曲の内容により深みが出るなーなんて思ったりしてます(笑)

そういえば、タイトルの「Pretender」も、「ノーダウト」の時ほどは直接的に曲中で言及がありませんね。pretendは英語で、「~のふりをする」なので、pretenderは「ふりをする人」。もしかすると、当然君も、僕でさえも、お互いの「運命のヒト」の「ふりをしていた人」なのかもしれません。

 

4. 最後に

さて、いかがでしたでしょうか。私はさすが髭男だなぁと、あっという間に大好きな一曲になってしまいました。

4月30日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』6月号にて、「『Pretender』ができるまで」というインタビューが掲載されるそうです!こちらも合わせて読んでみると、より楽曲を楽しめるかもしれません。

 

rockinon.com

 

GWを控え、春フェスも増えてきますね!気候もいいので、是非皆さん楽しい音楽ライフを過ごしてくださいね!^^

それでは。

【楽曲解説】あいみょん「ハルノヒ」の歌詞の意味は?/クレヨンしんちゃん映画主題歌

こんにちは!4月になって1週間が過ぎましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。4月は出会いと別れの季節。進学や就職で家族や友達と離れ離れになったりする一方で、今まで全く接点のなかった新しい人間関係が生まれたりする時期でもあります。世の中全体がどこか浮ついていて、何とも言えない雰囲気になりますよね。

 

さて今日は、あいみょんが4月2日に先行配信を開始した7th Single「ハルノヒ」について、その歌詞の意味を見ていきたいと思います!この曲は、『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』の主題歌となることが発表されています。

 

幅広い世代からの人気が留まるところを知らないあいみょん。新曲にはどのような想いを込めているのでしょうか。

 

▼「あいみょん」オフィシャルサイト

www.aimyong.net

 

▼「あいみょん」について(過去記事)

hogaku-rush.hatenablog.com

1. あいみょんと「クレヨンしんちゃん」の関係とは?

さて、楽曲の説明に入るまえにあいみょんクレヨンしんちゃんの関係について触れておきたいと思います。

デビュー直後のインタビューから本人が語っているので既に有名な話ですが、あいみょんは幼少期、芸術家・岡本太郎に大きなシンパシーを感じると言います。また音楽家としては、吉田拓郎の影響を受けていると語っています。この二つを結びつけるものが、「クレヨンしんちゃん」だったのだとか。

2001年に公開された「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」っていう映画ですね。

この映画は高度経済成長期だった昭和30~40年を描いたシーンが多くて、大阪万博がその象徴として登場するんです。その中で太陽の塔を見たときになぜか強烈に惹かれて。

映画を観た頃、私は小学生だったんですけど、図工の授業でピカソと並んで岡本太郎さんのことを習って、大阪の吹田に太陽の塔が実在することを知ったんです。

岡本太郎さんの話から少しずれちゃうんですけど、この映画からは音楽的な影響も受けてるんですよね。

挿入歌に吉田拓郎さんの「今日までそして明日から」が使われていて、それで吉田拓郎さんを好きになったり、同じく挿入歌のベッツィ&クリスの「白い色は恋人の色」のレコードを大人になってからオークションで落としたり。

ほんまに「オトナ帝国の逆襲」は自分にとって大きな映画ですね。

あいみょん「愛を伝えたいだとか」インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

上記で引用したインタビュー自体は2017年のものですが、それからも取材を受けるたびに「クレヨンしんちゃん」の話をしているあいみょん。それだけに、映画の主題歌を担当することが発表されたときのコメントには作品への愛情が溢れていますね、、、!

 

この度、『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』の主題歌を担当させて頂くことになりました。小さい頃から大好きだった。と、言いますととてもありきたりだとは思うのですが、その大好きな想いを私なりに楽曲でどうにか伝えられたらな。と心から思い、今回のテーマが「家族の愛」と聞いて、野原一家の誕生の物語を楽曲で描けたら!と考えました。

クレヨンしんちゃんはいつも、家族の繋ぐ糸の強さや幸せを教えてくれます。
もちろん、カスカベ防衛隊のみんなとの絆も。
時には間違いつまずくことも。
作品から伝わるメッセージに心を打たれます。
本当に今回の映画に携われて幸せでした。
一生の宝物をありがとうございます。
書き下ろしさせて頂いた「ハルノヒ」が沢山の場所に届きますように。

別の作品にはなるのですが、2001年公開の「オトナ帝国の逆襲」を観て、太陽の塔に出会い、今では岡本太郎の虜です。また、吉田拓郎さんやベッツィ&クリスに出会わせてくれたクレヨンしんちゃんに、頼りないかも知れませんが私からのささやかな恩返しとなれば幸いです。

あいみょん、『映画クレヨンしんちゃん』に主題歌「ハルノヒ」を書き下ろし 4月にCDリリースも - Real Sound|リアルサウンド

 

2. あいみょん「ハルノヒ」の歌詞の意味は?

それでは、ここから「ハルノヒ」の歌詞についてみていきたいと思います。

MVも公開されています。風車や海岸、草原で一人歌うあいみょんの姿が印象的ですね。映画の主題歌でありながら、作品に寄せていないのは意外性があります。

 

あいみょん「ハルノヒ」MV

www.youtube.com

 

▼歌詞

「ハルノヒ」

詞・曲:あいみょん

 

北千住駅のプラットホーム
銀色の改札
思い出話と 想い出ふかし
腰掛けたベンチで

僕らは何も見えない
未来を誓い合った

 

寒さにこらえた木々と猫が
まるで僕らのことで
蕾を咲かせようと実を揺らしてる
素敵に笑っている

焦らないでいい
いつか花束になっておくれよ

 

それまで待っていてね
これからの展開をふたりで
飽きるまで過ごして見るからね
最低限の愛を伝えながら

 

どんな未来が
こちらを覗いてるかな
君の強さと僕の弱さをわけ合えば
どんな凄いことが起きるかな?
ほら もうこんなにも幸せ
いつかはひとり いつかはふたり
大切を増やしていこう

 

北千住駅をフワっと歩く
藍色のスカート
いつになく遠く 遠くに見える
加速する足音

素直じゃないと
いけないような気がしたよ

 

優しさに甘えすぎて
怯えすぎた男の背中に
掌を添えてくれるのはもう
前を歩く君じゃなきゃダメだから

 

どうか未来が
こちらに手を振ってほしい
日々の辛さと僕の体が
だらしなく帰る場所を探し続けている

ほら もうこんなにも夕焼け
いつかの灯り思い出すとき
大切に気づくのでしょう

 

焦らないでいい
いつか花束になっておくれよ
僕らは何も見えない
未来を誓い合った

 

どんな未来が
こちらを覗いてるかな
君の強さと僕の弱さをわけ合えば
どんな凄いことが起きるかな?

ほら もうこんなにも幸せ
いつかはひとり いつかはふたり
いや もっともっと
大切を増やしていこう?

 

住み慣れた駅のプラットホーム
水色に挨拶
「お帰りなさい」と
小さく揺れる影を踏む幸せ

 

この曲は、「野原一家の誕生の物語」を描いたものだと、あいみょん自身が語っています。このブログではそのコメントを念頭に置きつつも、あえて作品ありきの解釈ではなく、言葉の意味を考えながら歌詞を読み解いていきたいと思います!

 

【1】1番Aメロ

北千住駅のプラットホーム
銀色の改札
思い出話と 想い出ふかし
腰掛けたベンチで

僕らは何も見えない
未来を誓い合った

さて、この曲は「北千住駅」という地名から始まります。武道館で最初に聴いたとき、早速「クレヨンしんちゃん」を連想させるワードが出たな、と思いましたが実はこの後そういうキーワードはそれほど多く登場しません。

 

「北千住」は東京都足立区にある駅です。「クレヨンしんちゃん」は埼玉県春日部市が舞台ですが、そこの春日部市を通る鉄道は東武伊勢崎線伊勢崎線北千住駅日比谷線に乗り入れるため、「北千住」は乗り換えの発生するターミナル駅だと言えると思います。プラットホームにあるベンチに腰掛けた「僕ら」は、あいみょんの言葉を踏まえると「野原ひろし」と「野原みさえ」ではないでしょうか。

 

「思い出話と 想い出ふかし」が若干難解です。「思」と「想」を書き分けているところに意味があるかもしれません。「想」は「対象となるものやことの姿を頭の中に描くとき/おもっている相手を慕い求めるとき」に使う漢字だそう。過去あった出来事(=思い出)を思い浮かべながら、相手への想い(=思い出)を伝えたと取れそうです。(実際に、ひろしがみさえにプロポーズしたのは、北千住駅のホームなんだとか。)

これから何が起こるかも分からない未来を、ともに生きていくことを誓ったのだと思います。

 

【2】1番Bメロ

寒さにこらえた木々と猫が
まるで僕らのことで
蕾を咲かせようと実を揺らしてる
素敵に笑っている

焦らないでいい
いつか花束になっておくれよ

 その感動的なシーンで、木々と猫も、蕾を割かせようと実を揺らしたり、素敵にほほ笑んだりと、まるで2人を祝福しようとしているかのようです。唐突なプロポーズに合わせてそんなに急いで蕾を割かせようとしなくていいから、いつかその花をたくさん咲かせ、花束になってほしい。そんな思いを表現しているのではないでしょうか。

 

【3】1番Cメロ

それまで待っていてね
これからの展開をふたりで
飽きるまで過ごして見るからね
最低限の愛を伝えながら

 いつか、花束を贈られるにふさわしいタイミングまで、酸いも甘いも二人で過ごしていく結婚生活が待っています。一緒に暮らしていると、いちいち愛情表現をすることも少なくなります。「最低限の愛」と言っているところに、ひろしの照れのようなものも垣間見えますね。

 

【4】1番サビ

どんな未来が
こちらを覗いてるかな
君の強さと僕の弱さをわけ合えば
どんな凄いことが起きるかな?
ほら もうこんなにも幸せ
いつかはひとり いつかはふたり
大切を増やしていこう

未来で何が起きるかはまだ分からないですが、正反対の二人で共に生きる人生には、ワクワクせずにはいられません。いつかは、一人、二人と家族を持ちたいと、好きな人とのこれからを前にして改めて思うのです。

 

【5】2番Aメロ

北千住駅をフワっと歩く
藍色のスカート
いつになく遠く 遠くに見える
加速する足音

素直じゃないと
いけないような気がしたよ

 ここの解釈が少し難しいですが、スカートの姿を見ているので、1番と同じくやはりひろしから見たみさえの描写ではないかと思います。帰り道、駅で自分に気づいて駆け寄ってくるみさえの姿を見て、嘘をついたり裏切ったりして悲しませたりしてはいけない、素直でいようと感じたのではないでしょうか。

 

【6】2番Bメロ

優しさに甘えすぎて
怯えすぎた男の背中に
掌を添えてくれるのはもう
前を歩く君じゃなきゃダメだから

これは自虐かもしれません。ひろしは自分で自分が優しさに甘え、いろいろなことに臆病な情けない男であると気づいている。そんな自分をいつも励まし正してくれるのは、自分の前を歩いてリードしてくれるみさえではないといけない。そんな風に、相手を必要不可欠な存在に思っているのでしょう。 

 

【7】2番サビ

どうか未来が
こちらに手を振ってほしい
日々の辛さと僕の体が
だらしなく帰る場所を探し続けている

ほら もうこんなにも夕焼け
いつかの灯り思い出すとき
大切に気づくのでしょう

 未来に手を振る、とはよく言いますが、むしろ未来が手を振って近づいてきてほしい。そんなことを思うほど、毎日はストレスに溢れています。どこか自分が帰れる場所を、と常に考えてみても、結局はそれが自分が毎日帰っている自分の家だと気づく。夕方になり夜になり、我が家の灯りが見えた瞬間に、改めて灯りが灯っていることの温かさを実感するのではないでしょうか。

 

【8】Cメロ~ラスサビ

焦らないでいい
いつか花束になっておくれよ
僕らは何も見えない
未来を誓い合った

 

どんな未来が
こちらを覗いてるかな
君の強さと僕の弱さをわけ合えば
どんな凄いことが起きるかな?

ほら もうこんなにも幸せ
いつかはひとり いつかはふたり
いや もっともっと
大切を増やしていこう?

ここの部分は繰り返しになります。最後の「大切を増やしていこう」に「?」がついているのが、一人感じたことではなく語りかけているようで良いですね。

住み慣れた駅のプラットホーム
水色に挨拶
「お帰りなさい」と
小さく揺れる影を踏む幸せ

 最後の一節は、舞台が「住み慣れた駅」に代わっています。ひょっとすると、これは春日部駅のことかもしれません。小さく揺れる影、はおそらく子供のしんのすけのことではないでしょうか。やがて大切な人ができた、ある日の幸せを歌って、歌は終わります。

 

3. まとめ

いかがだったでしょうか。直接的に「クレヨンしんちゃん」に言及した描写は少ないものの、随所にひろしの人柄やみさえの温かさ、そして二人の家族愛のようなものが感じられる楽曲でした。

あいみょんのルーツの一つである、クレヨンしんちゃん」への愛が溢れた一曲になっているのではないでしょうか。

 

新曲も公開されたばかりですが、すでにじわじわと話題が集まっています。

気になった方はぜひ映画を見て、「ハルノヒ」の良さもより深く感じてみてくださいね!!

 

それでは!

 

【楽曲解説】話題沸騰中、King Gnu「白日」を歌詞からサウンド面まで徹底解説!

気がついたら前回の更新からだいぶ空いてしまいました。

最近はすっかり暖かくなり、花粉症に悩まされる毎日です(笑)。

4月からは春フェスの季節。音楽三昧の日々になりそうなので、また頑張って書いていきます!!

 

さて、今日は最近人気急上昇中のアーティストKing Gnu」について紹介します。直近Mステにも出演していたので、そこで初めて名前を知ったという方もいるでしょう。これからの春フェスにも積極的に出演する彼ら。今日はKing Gnuの魅力について、話題の新曲「白日」をテーマに解説していきます。この記事で予習して、皆でライブを楽しんじゃいましょう^^

 

1. そもそも、「King Gnu」っていったい誰?! 

まずは、「King Gnu」というアーティストについて紹介していきます。

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出典:http://kinggnu.jp/

 King Gnu

 東京藝術大学出身で独自の活動を展開するクリエイター常田大希が2015年にSrv.Vinciという名前で活動を開始。
その後、メンバーチェンジを経て、常田大希(Gt.Vo.)、勢喜遊(Drs.Sampler)、新井和輝(Ba.)、井口理(Vo.Key.)の4名体制へ。
SXSW2017、Japan Nite US Tour 2017出演。
2017年4月26日、バンド名をKing Gnuに改名し新たなスタートをきった。

 

出典:http://kinggnu.jp/biography/

 オフィシャルサイトにも記載がある通り、King Gnuは結成後約4年とまだ比較的若いバンドです。自分も2018年まで名前を知らなかったので、「J-POPシーンに突然新しいバンドが現れたな」という印象を受けました。実際にワンマンライブを初めて行ったのは2018年と直近(チケットは、即日ソールドアウト、、!)だったにも関わらず、ここまで一気に知名度が上昇し、多くの人に聴かれているのはすごいですね。

 

2019年に入り、メジャーデビュー、2ndアルバム「sympa」のリリース、そして初のドラマタイアップのシングルとなった「白日」のリリースなど立て続けにニュースが出て、メディアにも取り上げられることが多くなったKing Gnuですが、楽曲についても「中毒性があって何度でも聞きたくなる」というような称賛のコメントが多く集まっています。

 

ここからは、2/22に配信限定でリリースされたNewSingle「白日」を題材に、彼らの魅力を語っていきます!

 

King Gnu オフィシャルサイト

kinggnu.jp

 

2. 「白日」の歌詞の意味は? 

続いて、「白日」について、まずは歌詞の意味を見てみましょう!(その後、次のセクションで歌詞とサウンドの両面から、King Gnuのすごさを語ってみます)

 

King Gnu「白日」MV

www.youtube.com

 

King Gnu「白日」歌詞

白日

詞・曲 : 常田大希

 

時には誰かを

知らず知らずのうちに

傷つけてしまったり

失ったりして初めて

犯した罪を知る

 

戻れないよ、昔のようには

煌めいて見えたとしても

明日へと歩き出さなきゃ

雪が降り頻ろうとも

 

今の僕には

何ができるの?

何になれるの?

誰かのために生きるなら

正しいことばかり

言ってらんないよな

 

どこかの街で

また出逢えたら

僕の名前を

覚えていますか?

その頃にはきっと

春風が吹くだろう

 

真っ新に生まれ変わって

人生一から始めようが

へばりついて離れない

地続きの今を歩いているんだ

 

真っ白に全てさよなら

降りしきる雪よ

全てを包み込んでくれ

今日だけは

全てを隠してくれ

 

もう戻れないよ、昔のようには

羨んでしまったとしても

明日へと歩き出さなきゃ

雪が降り頻ろうとも

 

いつものように笑ってたんだ

分かり合えると思ってたんだ

曖昧なサインを見落として

途方のない間違い探し

 

季節を越えて

また出逢えたら

君の名前を

呼んでもいいかな

その頃にはきっと

春風が吹くだろう

 

真っ新に生まれ変わって

人生一から始めようが

首の皮一枚繋がった

如何しようも無い今を

生きていくんだ

 

真っ白に全てさよなら

降りしきる雪よ

今だけはこの心を凍らせてくれ

全てを忘れさせてくれよ

 

朝目覚めたら

どっかの誰かに

なってやしないかな

なれやしないよな

聞き流してくれ

 

忙しない日常の中で

歳だけを重ねた

その向こう側に

待ち受けるのは

天国か地獄か

 

いつだって人は鈍感だもの

わかりゃしないんだ肚の中

それでも愛し愛され

生きて行くのが定めと知って

 

後悔ばかりの人生だ

取り返しのつかない過ちの

一つや二つくらい

誰にでもあるよな

そんなんもんだろう

うんざりするよ

 

真っ新に生まれ変わって

人生一から始めようが

へばりついて離れない

地続きの今を歩いて行くんだ

 

真っ白に全てさようなら

降りしきる雪よ

全てを包み込んでくれ

今日だけは

全てを隠してくれ

 

 【1】1番Aメロ~1番サビ

時には誰かを

知らず知らずのうちに

傷つけてしまったり

失ったりして初めて

犯した罪を知る

 

戻れないよ、昔のようには

煌めいて見えたとしても

明日へと歩き出さなきゃ

雪が降り頻ろうとも

 

この曲のテーマになっているのは「罪」を犯した人間の感情です。

当たり前ですが、「罪」は犯されなければ「罪」として存在しないわけで、犯された罪はほとんどが犯してから後悔されるものになります。罪を犯す前に、人を傷つける可能性や失う可能性に気づければいいのに、それができない。かつ、起きてしまったことは不可逆で、元には戻れません。

絶望の中、吹雪で前が見えなくても、未来に向かって進むしかないのです。

 

今の僕には

何ができるの?

何になれるの?

誰かのために生きるなら

正しいことばかり

言ってらんないよな

 

どこかの街で

また出逢えたら

僕の名前を

覚えていますか?

その頃にはきっと

春風が吹くだろう

「今の僕には 何ができるの?」のフレーズで言及されている「今」は、罪を犯してしまった「今」ではないでしょうか。本来、誰かのために生きたいと思えば、何かを選ばなければいけない。それだけでまた別の誰かを傷つけてしまう可能性もあるはずです。

大きな罪を背負ってしまった自分には、これから誰かのために生きて、何かを選ぶということができるのか―「今の僕には 何ができるの?」は、そんな思いを表現しているのではないかと自分は解釈しました。

降りしきる雪というのは、自らの行く先が見えないことの比喩ではないかと思います。春になれば雪は止み、前向きに歩き出せるはずです。一体それはいつになるのか、そしてその時が来たら、君は僕を覚えていてくれるでしょうか。

 

真っ新に生まれ変わって

人生一から始めようが

へばりついて離れない

地続きの今を歩いているんだ

 

真っ白に全てさよなら

降りしきる雪よ

全てを包み込んでくれ

今日だけは

全てを隠してくれ

仮に、過去の罪をまっさらにして人生をリセットしようとしても、過去は今と地続きで決して切り離せないものです。今、行く先は雪が隠して見えないけれど、それであればこの降りしきる雪が、過去の罪も真っ白で覆い隠してくれればいいのに。そんな気持ちを歌っています。

 

 【2】2番Aメロ~2番サビ

もう戻れないよ、昔のようには

羨んでしまったとしても

明日へと歩き出さなきゃ

雪が降り頻ろうとも

 過去には戻れないのだから、先が見えないとしても、未来に向かって歩き出さないといけません。

 

いつものように笑ってたんだ

分かり合えると思ってたんだ

曖昧なサインを見落として

途方のない間違い探し

 

季節を越えて

また出逢えたら

君の名前を

呼んでもいいかな

その頃にはきっと

春風が吹くだろう

罪とも呼ぶべき出来事にも、実はそれを犯す前には曖昧なサインがあります。結果として罪を犯すのはそのサインを見落として、何も考えずに笑って「分かりあえるだろう」と甘く考えていた報いなのではないか。そんなことを、このフレーズは問いかけているように思います。

季節が冬から春になり、後悔から解放されたとき、また君に会えたら、自分から声を掛けることができるでしょうか。

 

 

真っ新に生まれ変わって

人生一から始めようが

首の皮一枚繋がった

如何しようも無い今を

生きていくんだ

 

真っ白に全てさよなら

降りしきる雪よ

今だけはこの心を凍らせてくれ

全てを忘れさせてくれよ

人生をリセットしても、結局は何とか首の皮一枚で今を生きていくだけです。降りしきる雪が心を凍らせてくれれば、考えることもできなくなり、過去の罪もすべて忘れられるのに。結局残酷なもので、人は犯した罪を悔い続けることしかできないのです。 

 

【3】2番Aメロ~2番サビ

朝目覚めたら

どっかの誰かに

なってやしないかな

なれやしないよな

聞き流してくれ

 

忙しない日常の中で

歳だけを重ねた

その向こう側に

待ち受けるのは

天国か地獄か

自分の過去が、今の自分を作っています。過去に囚われているこの自分を捨て、全く別の人間になれればいいけれど、そんなこともできないとわかっています。

毎日をあわただしく生きる中で、無為に時間だけを重ねて、最終的に待ち受けるのは天国か地獄か、どちらでしょうか。(そんなもの地獄だろう、ということを言っているのではないかと思います。)

 

いつだって人は鈍感だもの

わかりゃしないんだ肚の中

それでも愛し愛され

生きて行くのが定めと知って

 

後悔ばかりの人生だ

取り返しのつかない過ちの

一つや二つくらい

誰にでもあるよな

そんなんもんだろう

うんざりするよ

 人が何を考えているかなんて、腹の中はよくわかりません。ただ、人は他人のことを愛し、他人から愛されて生きていくものです。

後悔はその中で増えていく。誰しも、取り返しのつかない過ちを犯してしまうはずで、それが宿命だと思うと、人生というものに嫌気がさしてきます。

 

 【4】ラスサビ

真っ新に生まれ変わって

人生一から始めようが

へばりついて離れない

地続きの今を歩いて行くんだ

 

真っ白に全てさようなら

降りしきる雪よ

全てを包み込んでくれ

今日だけは

全てを隠してくれ

 繰り返しです。

 

この「白日」という曲は全体を通じて「罪」というものの存在と、それを背負って生きる人の宿命を歌い上げています。

「罪」は人が人として生き、人を愛し憎しむ中で生まれます。それは些細なすれ違いに端を発し、一度生まれてしまうと決して消すことができません。

罪という黒いものを、降りしきる雪という白で対比させて描いているのが非常に綺麗だなと思いました。MVが白と黒の二色から成り立っているのも、意図的だと思います。

 

3. 「白日」を聴くときに注目してほしい2つのこと 

さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが(笑)、ここから個人的にKing Gnu「白日」がすごいと思ったポイントを書いてみたいと思います。一つは「一曲の中での展開」、もう一つは「メロディの美しさとキャッチ―さ」です。

 

 ①「一曲の中での展開」がすごい!

MVを聴いて頂くと分かりますが、「白日」はメロディの展開が一曲の中でも非常に多様です。冒頭はキーボードの優しいフレーズに井口の繊細なボーカルから始まり、ドラムの細かいリズムを加え、一転してギターに合わせて常田が歌い、サビに入ると二人の声が重なり…。最初に聴いたとき、この曲が最終的にどう収束するのだろうという想像を掻き立てられた方も多かったでしょう。

 

中でも特に圧巻なのは、歪んだ攻撃的なギターソロが終わって以降の演奏と歌詞でしょう。「朝目覚めたらどっかの誰かに なってやしないかな なれやしないよな 聞き流してくれよ」と一瞬弱気な本音を吐露したかと思えば、「天国か地獄か」というキラーワードとともに再び井口のボーカルとキーボードだけに戻り、「過ちの一つや二つくらい誰にでもあるよな」以降で、この曲最高潮に盛り上がります。

 

先ほども見てきたとおり、この曲では罪に囚われる人間の感情の起伏が歌われていますが、その不安定な心の中をここまで見事に演奏で表現しているのが、本当にすごいです。一人の人間の豹変ぶりや、錯乱状態を映像で脳裏に浮かばせられるのは、ひとえに彼らの演奏能力・作曲能力の高さですね、、、!

 

 ②「メロディの美しさとキャッチ―さ」がすごい!

①とも関連しますが、一曲の中で多様な顔を見せる「白日」は、「メロディの美しさとキャッチ―さ」を両方感じられる楽曲だと思います。

特に冒頭の「時には誰かを 知らず知らずのうちに 傷つけてしまったり」は井口の歌声が非常に壮大で美しい印象を与えていますし、サビについては思わず身体が動いてしまうようなノリやすいキャッチ―なメロディで作られています。

一曲の中にさまざまな印象が同居するというのが、曲のイメージをより複雑にし、中毒性を高めているのではないかと思います。最初に聴いたとき、2回目に聴いたとき、と徐々に印象を変えていくところが、「白日」の奥深さではないでしょうか。

 

4. 最後に

いかがだったでしょうか。人それぞれ、本当にいろいろな感想が生まれる楽曲だと思いますので、是非いろいろな部分に注目して聴いてみてほしいです!

 

春フェス~夏フェスにかけて、既に以下に出演が決まっていますので、今年はKing Gnuを見る機会がたくさんできそうですね!

 

《フェス出演情報》

◆2019年4月◆

4/28(Sun) ARABAKI ROCK FEST.19

4/29(Mon) FM802 30PARTY SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2019

◆2019年5月◆

5/4(Sat) VIVA LA ROCK 2019

5/11(Sat) FM802 30PARTY Rockin’Radio! -OSAKA JO YAON-

5/19(Sun) METROCK2019

5/25(Sat) GREENROOM FESTIVAL

◆2019年6月◆

6/1(Sat) ~6/2(Sun)  頂 -ITADAKI- 2019

5/31(Fri) ~6/2(Sun) 森、道、市場2019

◆2019年7月◆

7/20(Sat) ~7/21(Sun) NUMBER SHOT2019

◆2019年8月◆

8/16(Fri) ~8/17(Sat) RISING SUN ROCK FESTIVAL 2019 in EZO

8/18(Sun) SUMMER SONIC 2019

 

King Gnu ライブ情報

http://kinggnu.jp/live/

 

今後のリリースやライブ情報も、注目していきたいと思います。

【ライブレポート】あいみょん【AIMYON BUDOKAN -1995-】初の武道館公演から見えたものとは?

今日のライブレポートは、あいみょんの初武道館公演「【AIMYON BUDOKAN -1995-】」です。

 

2018年末の紅白歌合戦に初出場し、2019年1月にはスペースシャワーTVで邦楽マンスリー・アーティスト「V.I.P.」に選出されるなど、その人気は高まるばかり。今回のライブにも各方面から注目が集まっています。

 

1日限りの武道館ライブ。終わったばかりの今、とにかく「幸運にも、生で見られて良かった…!」という気持ちでいっぱいです。例によって、公演直後で余韻に浸りっぱなしの状態ですが(笑)、今日のライブについてレポートしてみたいと思います!

 

ちなみに、あいみょんは2/13に1年半ぶりとなる2nd Album『瞬間的シックスセンス』をリリースしたばかり。2018年に大ヒットしたシングル「マリーゴールド」「今夜このまま」を始め、新曲を含む12曲が収録されています。

 

まだ手に入れられていない方は、こちらも要チェックです!

www.aimyong.net

 

1. 舞台は日本武道館 

今回のライブの舞台は、1万3000人以上を収容できる日本武道館。もちろんあいみょんにとって過去最大規模のキャパシティでのライブとなります。チケットは即日完売。本当に人気がすごいです…!!

事前情報では、360°客席で囲まれたセンターステージで、弾き語り公演とのこと。どんなパフォーマンスになるのか、ライブ開始前から想像が膨らみます。

客層は自分と同世代の、20代のファンが目立ちました。男性・女性は半々くらいか、気持ち女性が多いくらいかもしれません。

 

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2. セットリストとライブ構成

さて、気になるセットリストはこんな感じでした。アルバムリリースの直後なので、アルバム収録曲中心で組んでくると予想していましたが、アルバム収録曲以外の楽曲もたっぷりと演奏してくれました!

 

▼セットリスト

第1部

1. マリーゴールド

2. 愛を伝えたいだとか

3. わかってない

4. 満月の夜なら

5. 風のささやき

6. 恋をしたから

7. ○○ちゃん

8. 春の日(新曲)

9. 貴方解剖純愛歌~死ね~

ー休憩ー(SNACK TIME RADIO)

第2部

10. 憧れてきたんだ

11. 今夜このまま

12. ふたりの世界

13. どうせ死ぬなら

14. GOOD NIGHT BABY

15. いつまでも

16. 生きていたんだよな

17. 1995(新曲)

18. 君はロックを聴かない

※アンコールなし

 

ライブは約20分間の休憩を挟んだ2部構成でした。ステージは360°回転する仕組み。全方向からの拍手や歓声は、センターステージならではの感覚です。

 

今回のライブの特徴は、なんといっても弾き語り形式であることだと思います。弾き語りである以上、歌唱・アコギの演奏・MCと、全てを一人でこなさなければいけません。当然並々ならぬ緊張があったとは思うのですが(本人曰く、緊張して「貴方純愛解剖歌~死ね~」の歌詞を間違えて"先に目をくり抜いてしまった"」とのこと)、いつも通りの自然体のスタイルで2時間超のステージで18曲を歌い上げました。

 

3. 全編弾き語りは圧巻!あいみょんの"声"に身体を預ける2時間

今回のライブを通じてまず感じたのは、「全編弾き語り」で歌い通せるあいみょんのすごさです。

ステージでの演奏は最初から最後まで本当に一人きり。アコギと声だけのはずなのに、バンド形式の時よりも演奏に迫力があった気がします。あいみょんは毎回MCがなんとも脱力系なのですが、だからこそど真ん中に位置するステージで見せる堂々たる歌いっぷりからは表現者としての風格を感じました。とても23歳とは思えない演奏でした…!

 

また、弾き語りで楽器がなかったこともあり、ライブでは歌と歌詞、メロディに集中して聴くことができました。弾き語りだからこそ気づけたあいみょんの新しい魅力もあったと思います。

例えば、声質について。あいみょんは、低音~中程度の高さの音がハミングをするような柔らかい声質ですが、この「丸い声」は、なんともいえない"セクシーさ"を持っています。「満月の夜なら」の「君のアイスクリームが溶けた 口の中でほんのりほどけた 甘い甘い甘い ぬるくなったバニラ」というフレーズにはその柔らかい感じが良く出ていて、アダルトな歌詞とピッタリ合います。に集中できることによって音源では気付かなかった良さを発見できたのが、とても嬉しかったです!

 

総じて、今日見に来たファンの皆様にとっては、普段から大好きでよく聴いている楽曲たちをもっと好きになれるライブだったのではないでしょうか。

 

4. -1995-持つの意味/なぜあいみょんは初の武道館ライブに「弾き語り」を選んだのか?

さて、今回の公演のタイトルには「1995」という年号が含まれています。また、ライブでは、本公演のために書き下ろされた新曲「1995」も披露されました。「1995」には、どんな意味があるのでしょうか。

 

今回のライブを振り返ってみて最も印象に残ったのは、あいみょんがこれまで影響を受けた人やものに関するエピソードが多く登場することでした。7曲目「○○ちゃん」は、中学3年生からの親友のことを想って書いた歌(中学の頃からヤンキーだった「○○ちゃん」となぜかウマが合い、10年来の親友になったとか。幕間のSNACK TIME RADIOでは、○○ちゃんとあいみょんのガールズトークが繰り広げられます)。続く8曲目「春の日」は、幼いころにあいみょんに影響を与えた「クレヨンしんちゃん」の映画の主題歌。9曲目の「貴方解剖純愛歌~死ね~」は、大阪・梅田や東京・渋谷で路上ライブをしていた時に、何度も歌った歌でした。

 

MCで本人が話していましたが、実は「1995」は彼女が生まれた年です。私が思うに、「1995」の名を冠した今日のライブはアーティスト「あいみょん」が生まれ、武道館という舞台に辿り着くまでの「あいみょんの歴史」そのものだったのではないでしょうか。「あいみょん」は、ギターを片手に曲を作り、路上で歌うところから始まりました。だから、今回の武道館ライブは彼女の原点である「弾き語り」を軸に構成されていたのだと思います。

 

冒頭でも紹介しましたが、この1年、あいみょんの活躍は目覚ましいものがあります。瞬く間にファンを増やしているあいみょんですが、今夜の武道館公演は、あいみょんの音楽に初めて出会った人たちに自身の"ルーツ"を紹介する名刺代わりのようなライブだったといえるのではないでしょうか。

 

5. さいごに

【AIMYON BUDOKAN -1995-】のライブレポート、いかがだったでしょうか。1日だけの武道館ワンマン、チケットが当たったのはこの上ない幸せでした…!

ライブに行けた人にも、行けなかった人にも、開場の熱気や余韻が少しでも伝わったら嬉しいです。

 

今後のあいみょんのリリース、ライブにも注目していきたいと思います!

【楽曲解説】ずっと真夜中でいいのに。「眩しいDNAだけ」の歌詞の意味は?

今日は、ずっと真夜中でいいのに。が2/5に公開した新曲「眩しいDNAだけ」について書いていきたいと思います。


この記事を書いているタイミングが公開1週間後なのですが、既に再生回数は144万回を突破。ジワジワと、しかし着実に人気を集めていることが分かりますね...!
今年ブレイク必至の"ずとまよ"。気になったあなたはこの記事を読んでより「どハマり」しちゃいましょう!

 

1. ずっと真夜中でいいのに。についておさらい

ずっと真夜中でいいのに。については、以前「脳裏上のクラッカー」について書いた記事で紹介しています。

hogaku-rush.hatenablog.com
ここで触れた通り、ずっと真夜中でいいのに。および、ボーカルを務める「ACAね」の存在は引き続き謎のまま。しかし、2019年に入り立て続けにメディアに取り上げられるなど、注目度は高まるばかりです。

 

www.billboard-japan.com

 

realsound.jp

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今の時代どんなアーティストでも、ファンはYouTubeをはじめとしたインターネットで最初の接点を持つことが圧倒的に多いはずで、ロックバンドも音楽クリエイターも、聴き手へのアプローチのチャンスは平等にあるともいえます。

 

中でもボカロを中心としたクリエイターの作る音楽は、パソコンを使って作曲しそれを公開するという点でインターネット、YouTubeとの相性が極めて良い。だからこそ、ロック・ボカロ・アニメなどを融合したメロディが特徴的なずっと真夜中でいいのに。は、YouTubeに公開したMVが驚くべきスピードで聴き手に広がっているのではないでしょうか。

 

2. 新曲「眩しいDNAだけ」の歌詞の意味は?

それでは、ここから新曲「眩しいDNAだけ」の歌詞の意味を考えていきたいと思います。

 

▼ずっと真夜中でいいのに。「眩しいDNAだけ」MV

www.youtube.com

 

 ▼歌詞

ずっと真夜中でいいのに。「眩しいDNAだけ」
詞・曲:ACAね

 

工場の煙で止まりますのボタン
知らない所に降りたった途端
ミルクとコンクリートで出来た猫が
私の毒をみて鳴いてくれた
買い物袋から
はみ出たネギに
ポイ捨てされた銀色のトレーナーに
スカスカでとろい脳みそを
不安で満たしても腹減るよ

普段通りの段取り 熟して小慣れて
繰り返して演じるほど
遠ざかるみたい 茹で上がってない
肌に泡を汚すみたい
色が吸えない 味も読めない
孤独が眩しすぎてるほどのDNA
誰も立てないほどの生き映え

まだ迷ってしまうけど 街灯がない道だけど
届かない呼吸だけ 有り余る
このまま反射しても
何も変わりゃしないことも
過ぎって蔓延るよ

今は傷つくことも願ってる
見たことない光を望むなら

犠牲にしたって本心だけ
誰もわからず乏しい罠
分類したって自尊心は もう
薄暗い朝に委ねるだけ
時々たまに従うまま
シナリオ通りに暮らしてゆくなら
悩み方も何も知り得ずに頷くだけ
ビリビリに破り始めるだけ 今なら
今ならなだけ

無駄を楽しむ勇気がなくて
物語るために罵るね
変なところ 正直だって
そっちの方が楽だから
鍵閉め忘れたみたいに君失っても
もう何も悟れないよ
笑って

犠牲にしたって本心だけ
誰もわからず乏しい罠
分類したって自尊心はもう
薄暗い朝に委ねるだけ
時々たまに従うまま
シナリオ通りに暮らしてゆくなら
悩み方も何も知り得ずに頷くだけ
ビリビリに破り始めるだけ 今なら

毎度 決まった縁を
なぞってゆくのこわいよ
繰り返すけれど
繰り返したいけれど
満たされていたくないだけ

既製にしたって本心だけ
誰もわからず乏しい輪奈
分類したって自尊心はもう
薄暗い朝に委ねるだけ
解き怒気たまに従うまま
無難に無害に暗してゆくなら
笑い方も何も知り得ずに頷くだけ
ビリビリに破り始めるだけ
逸らせない光を選ぶだけ
今なら

犠牲にしたって本心だけ


工場の煙で止まりますのボタン
知らない所に降りたった途端
ミルクとコンクリートで出来た猫が
私の毒をみて鳴いてくれた
買い物袋から
はみ出たネギに
ポイ捨てされた銀色のトレーナーに
スカスカでとろい脳みそを
不安で満たしても腹減るよ

 

それでは、ここから具体的に歌詞を見ていきましょう。すでにこの曲の歌詞の内容を解釈したブログが複数あり、過去のMVとの関連性から楽曲を解釈したものもありますが、ここではあえて曲の歌詞のみに注目して、意味を考えていきます。

 

 【1】1番Aメロ

工場の煙で止まりますのボタン
知らない所に降りたった途端
ミルクとコンクリートで出来た猫が
私の毒をみて鳴いてくれた
買い物袋から
はみ出たネギに
ポイ捨てされた銀色のトレーナーに
スカスカでとろい脳みそを
不安で満たしても腹減るよ

曲は情景描写から始まります。歌詞は難解ですが、「毒」「ポイ捨て」「不安」といったネガティブな言葉からどことなく退廃的な雰囲気を感じるかと思います。

歌詞における工夫として、「工場の煙」「ミルク」「コンクリート」「銀色のトレーナー」といったモノトーンの名詞を多く登場させることで、全体的に淀んだ情景をイメージさせていることがあります。

「夕食の材料を買った買い物の帰りに猫に遭遇する」といった平和な日常風景が、「不安」で満たされている状態だと自分は捉えました。

 

このパートで何よりも際立つのは、ACAねのボーカルの多彩さでしょう。低音域の繊細なウィスパーボイスで、聴き手は言葉そのものをストレートに感じることができます。また少し眠そうな、けだるい感じを声色で表現することにも成功していますね。自分の声の持つ良さを分かっていて、1曲の中でもそれを適切に使い分けることができているのが本当にすごいと思います...!

 

余談ですが、最近日本語詞の中にラップを混ぜた楽曲が多い気がします。トレンドなのかもしれませんね。

 

 【2】1番Bメロ

普段通りの段取り 熟して小慣れて
繰り返して演じるほど
遠ざかるみたい 茹で上がってない
肌に泡を汚すみたい
色が吸えない 味も読めない
孤独が眩しすぎてるほどのDNA
誰も立てないほどの生き映え

 Bメロも同じく気だるい感じのメロディが続きます。「熟して小慣れ」るほど「繰り返して演じ」る普段通りのルーティーンは、何度も行ううちに遠ざかり、色も味も分からなくなってしまいます。そういう状況は孤独で、生きているのに生きた心地がしないのではないでしょうか。

 

 【3】1番Cメロ

まだ迷ってしまうけど 街灯がない道だけど
届かない呼吸だけ 有り余る
このまま反射しても
何も変わりゃしないことも
過ぎって蔓延るよ

今は傷つくことも願ってる
見たことない光を望むなら

毎日に光明が見えず、暗い闇の中で迷ってしまうような感覚。そんな中で、呼吸の音だけが有り余るほどはっきりと聞こえます。このままだと何も変わらないから、光を求めていっそ傷ついても構わない、むしろ光が見えるなら傷つきたいと願います。

 

【4】1番サビ

犠牲にしたって本心だけ
誰もわからず乏しい罠
分類したって自尊心は もう
薄暗い朝に委ねるだけ
時々たまに従うまま
シナリオ通りに暮らしてゆくなら
悩み方も何も知り得ずに頷くだけ
ビリビリに破り始めるだけ 今なら
今ならなだけ 

自分に嘘をついて、本心を犠牲にしても、そのことは誰にも分からない。おまけに自尊心にまみれて孤独に朝を迎える(=薄暗い朝に委ねる)ことになります。

誰かの言うことに従い、シナリオ通りに暮らしているのが今のルーティーンの生活だとすれば、その生活には悩みもない代わりに未来もありません。

自分が変わるチャンス、ルーティーンをビリビリに破るタイミングは「今ならなだけ」、つまり今しかないということではないでしょうか。

 

【5】2番Aメロ

無駄を楽しむ勇気がなくて
物語るために罵るね
変なところ 正直だって
そっちの方が楽だから
鍵閉め忘れたみたいに君失っても
もう何も悟れないよ
笑って 

回り道をして「無駄を楽しむ」勇気がなく、口を開けば悪口ばかりを言っている自分。自分に正直すぎて配慮がないとはいえ、そっちの方が楽なのです。「鍵を閉め忘れ」るようにうっかりと君を失っても、そこからはっと何かを悟るようなこともしないのでしょう。

 

【6】2番サビ

犠牲にしたって本心だけ
誰もわからず乏しい罠
分類したって自尊心は もう
薄暗い朝に委ねるだけ
時々たまに従うまま
シナリオ通りに暮らしてゆくなら
悩み方も何も知り得ずに頷くだけ
ビリビリに破り始めるだけ 今なら
今ならなだけ 

 1番からの繰り返しです。

 

【7】Cメロ

毎度 決まった縁を
なぞってゆくのこわいよ
繰り返すけれど
繰り返したいけれど
満たされていたくないだけ 

決まり切ったルートをなぞるだけの毎日を生きている自分。そのことにふと気づき、怖く感じています。つい、安定した毎日を繰り返したくなってしまいますが、それによって満たされたくない(=安易に満足したくない)という相反する気持ちに気づきます。

 

【8】ラスサビ

既製にしたって本心だけ
誰もわからず乏しい輪奈
分類したって自尊心はもう
薄暗い朝に委ねるだけ
解き怒気たまに従うまま
無難に無害に暗してゆくなら
笑い方も何も知り得ずに頷くだけ
ビリビリに破り始めるだけ
逸らせない光を選ぶだけ
今なら

 

犠牲にしたって本心だけ


工場の煙で止まりますのボタン
知らない所に降りたった途端
ミルクとコンクリートで出来た猫が
私の毒をみて鳴いてくれた
買い物袋から
はみ出たネギに
ポイ捨てされた銀色のトレーナーに
スカスカでとろい脳みそを
不安で満たしても腹減るよ

 ラスサビも繰り返しが多いですが、一部1、2番と歌詞の異なる部分があります。特に「シナリオ通りに暮らしてゆくなら」は「無難に無害にくらしてゆくなら」と言い換えられています。特に何の変化もなく無難な生活。それが連綿と続いてゆくことに気づき、急にぞっとするような気持ちを歌っているのではないでしょうか。

 

なんとなく、日々蓋をしている不満足感。気になる道を選ばず、いつも通りのルーティンに落ち着いてしまう自分。そんな自分にはっと気づいた時の何とも言えない恐怖感は、私にもありありとイメージできます。

 

日々生きている以上、身体の中の細胞は生き続けていて、まさしく「眩しいDNA」の状態です。そんな生物学的な営みと反対に、単純なことの繰り返しで心が真っ暗な毎日を生きている姿を、この「眩しいDNAだけ」は歌っているのではないでしょうか。

 

3. まとめ

さて、ずっと真夜中でいいのに。の新曲「眩しいDNAだけ」の歌詞の意味を考えてきましたが、いかがだったでしょうか。

 

この曲は、これまでとはまた違ったイメージをもった楽曲に仕上がっています。1番Aメロで指摘したウィスパー感・けだるさが、後半になって張り上げるような歌い方になっていく構成は、歌詞の中に歌われている想いが徐々に強くなっていくのを巧みに反映しています。

 

また、ベースを筆頭に後半に行くにしたがって音の数が増え、メロディラインが複雑になっていくのも聴き応え十分です。今までより一層バンドサウンドを楽しめる一曲だと言えると思います。

 

YouTubeのコメント欄やTwitterなど、早くも「中毒になった」というコメントが続出している"ずとまよ"の新曲「眩しいDNAだけ」。皆さんも是非、繰り返し聴いてハマってみてください!!^^