【楽曲解説】Official髭男dism「Pretender」の歌詞の意味・解釈は?/髭男の新曲は甘く切ないラブストーリー
さて、今日はOfficial髭男dismが先日MVを公開した新曲「Pretender」について、その歌詞の意味を徹底解釈していきたいと思います。髭男といえば、先日のNHKホール公演が素晴らしすぎてそれから超長期間余韻に浸っております、、!
▼Official髭男dismに関する以前の記事
その時の印象そのままに、今回も素晴らしい新曲をリリースしてくれています。皆さんもリリース前からMVを聴き込んで、是非覚えてカラオケで歌っちゃってください^^
それでは、その歌詞の意味を一緒に見ていきましょう!
1. 楽曲について
今回紹介する楽曲「Pretender」は、2019年5月15日にリリースされる、Official髭男dismの2nd Singleです。映画『コンフィデンスマンJP』の主題歌にも抜擢されています。
Official髭男dismは同じく『コンフィデンスマンJP』のドラマ版の主題歌を2018年に「ノーダウト」で務めていますが、まさに「ノーダウト」が出世曲となって、徐々に知名度を広げてきました。その「ノーダウト」の場合は、長澤まさみ演じる天才詐欺師が主人公、という「コンフィデンスマンJP」のストーリーに合わせて「嘘」をテーマとした楽曲になっていました。
その意味でも、「Pretender」が今回の映画を踏まえてどのような楽曲に仕上がっているのかが、非常に楽しみなところです。
▼Official髭男dism「Pretender」MV
ちなみに、映画『コンフィデンスマンJP』の舞台は香港。MVの撮影地は台湾・台北だそうですが、ギラギラと光るネオンの世界観は映画を意識したものでしょう。
ミュージックビデオは全編にわたり台湾で撮影されており、台湾の夜景をバックに背負った彼らの演奏シーンや、台湾の現地モデル、俳優のキャストによるドラマシーンも収められている。
また、今回の『コンフィデンスマンJP』は副題が "ロマンス編"。楽曲の中にも「ロマンス」のフレーズが登場します。その意味でも、映画も合わせて見るとより楽しめるかもしれません。
2. 歌詞について
それでは、「Pretender」の歌詞を見ていきましょう。
▼歌詞
「Pretender」
君とのラブストーリー
それは予想通り
いざ始まればひとり芝居だ
ずっとそばにいたって
結局ただの観客だ
感情のないアイムソーリー
それはいつも通り
慣れてしまえば悪くはないけど
君とのロマンスは人生柄
続きはしないことを知った
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな そう願っても無駄だから
グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも
甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」
誰かが偉そうに
語る恋愛の論理
何ひとつとしてピンとこなくて
飛行機の窓から見下ろした
知らない街の夜景みたいだ
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
いたって純な心で 叶った恋を抱きしめて
「好きだ」とか無責任に言えたらいいな
そう願っても虚しいのさ
グッバイ
繋いだ手の向こうにエンドライン
引き伸ばすたびに 疼きだす未来には
君はいない その事実に Cry…
そりゃ苦しいよな
グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも 甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」
それもこれもロマンスの定めなら 悪くないよな
永遠も約束もないけれど
「とても綺麗だ」
【1】1番Aメロ
君とのラブストーリー
それは予想通り
いざ始まればひとり芝居だ
ずっとそばにいたって
結局ただの観客だ
この曲は最初から、バッドエンドを予感させるフレーズで始まります。君との恋愛は、始まる前に自分が思っていた通り、ひとり芝居だった。距離感はずっと近いけれど、二人が本気になることはなく、結局は他人事のように真剣になれなかったのでしょう。
2人のうち、観客になっているのは君と僕のどちらか ― 断定はできませんが、この後僕が君への未練を募らせている様子を見ると、演じていたのは僕で、観客は君ではないかと考えられます。
【2】1番Bメロ
感情のないアイムソーリー
それはいつも通り
慣れてしまえば悪くはないけど
君とのロマンスは人生柄
続きはしないことを知った
「ごめんね」という二人の間のコミュニケーションにも、感情や熱はなくて、あまりにドライです。そんな状態がいつしか日常になってしまっているのでしょう。慣れれば特に何を思うことはないのかもしれませんが、僕と君の間には、「ロマンス」という感情は成立しないのだと、ふとした瞬間に気づかされるのです。
【3】1番Cメロ
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
もっと違う性格で もっと違う価値観で
愛を伝えられたらいいな そう願っても無駄だから
まるで芝居のように、自分自身のキャラクター設定や二人の関係を選べたら、この「ロマンス」にはまだ可能性があったのかもしれません。ただ、実際は君と僕とでは「世界線」が違っていて、あらゆるものが決して交わることがありません。
性格も価値観も違ったら、と「たら」「れば」を繰り返すこと自体が、無駄なのは自分も一番理解しています。
【4】1番サビ
グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも
甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」
どんなに工夫したところで、僕も君との関係が続かないことは分かっているのでしょう。だから、自分から君に「グッバイ」を告げます。運命の人かもしれないと思い、必死にそうなろうとして、でもなれなかったから、この判断は「辛いけど否めない」ものでしょう。
ただ、思い入れもあるからこそ、分かっていてもきっぱり離れることもできない。髪に触れると、君の感覚がよみがえり、「痛い」と「甘い」の相反する思いが胸を締め付けます。
これだけの苦しい思いを抱えるなんて、僕にとって君はどのような存在なのか。答えは自分の中にもないし、(もっとじっくり考えれば出るかもしれないけれど)「分かりたくも」ありません。この「ロマンス」が成立しなくても、目の前の君が「綺麗」であるということだけが事実なのが、なんとも悲しいです。
【5】2番Bメロ
誰かが偉そうに
語る恋愛の論理
何ひとつとしてピンとこなくて
飛行機の窓から見下ろした
知らない街の夜景みたいだ
さて、そんな風に悩み苦しむ僕にとって、「誰かが偉そうに語る愛の論理」は、遠くにうすぼんやりと見える程度で、何も具体的にイメージできないような、「知らない街の夜景」程度のものにしか思えません。
【6】2番Cメロ
もっと違う設定で もっと違う関係で
出会える世界線 選べたらよかった
いたって純な心で 叶った恋を抱きしめて
「好きだ」とか無責任に言えたらいいな
そう願っても虚しいのさ
改めて、二人の「世界線」を選ぶことができたらどんなに良かったでしょう。ただ、自分の気持ちに任せて、「好きだ」と後先考えず「無責任に」言えたら良いけれど、そう願っても叶わないとわかっているから、虚しい気持ちが募るばかりです。
【7】2番サビ
グッバイ
繋いだ手の向こうにエンドライン
引き伸ばすたびに 疼きだす未来には
君はいない その事実に Cry…
そりゃ苦しいよな
今手を繋いでいても、この「ロマンス」に終わりは見えている。取り繕って引き延ばしても、この先の未来には君はいないことが分かっていて、その事実を想像すると苦しくて、思わず泣けてしまうのでしょう。
【8】ラスサビ
グッバイ
君の運命のヒトは僕じゃない
辛いけど否めない でも離れ難いのさ
その髪に触れただけで 痛いや いやでも 甘いな いやいや
グッバイ
それじゃ僕にとって君は何?
答えは分からない 分かりたくもないのさ
たったひとつ確かなことがあるとするのならば
「君は綺麗だ」
それもこれもロマンスの定めなら 悪くないよな
永遠も約束もないけれど
「とても綺麗だ」
最終サビは1番サビの繰り返しとなり、最後のフレーズに入ります。
恋が始まり終わるまでの一連が「ロマンス」というものであれば、なんだかんだ「悪くない」 と思える。永遠や約束というような、聞き心地のいい結末は待っていないけれど、この「ロマンス」がどうなったとしても君が「とても綺麗だ」ということだけは、やはり確かなこととして残っているのでしょう。
3. 「Pretender」の聴きどころは?
さて、ここまで「Pretender」の歌詞についてみてきましたが、如何だったでしょうか?続いて、楽曲の聴きどころを、個人的にピックアップしてみました!
宜しければ、合わせて読んでいただけると嬉しいです^^
①全体的にエレクトロなサウンド
髭男は「ピアノPOPバンド」を自称している通り、楽曲の構成がピアノを主体に組まれることが多いです。ピアノを入れるとより曲全体がナチュラルで、自然な印象になると思うのですが、今回「Pretender」はピアノに加えて、電気的なシンセサイザーの音を多めに取り入れています。
その中でも最も印象的なのは、間奏部分かもしれません。通常ギターソロが入るようなポイントですが、今回はシンセサイザーがその役割を担っています。
これって髭男ではあまり聴かない、新しい音ですよね。リリースするたびに、髭男の良さはブラさないながらも、必ず何か新しさを加えてくるのは本当にさすがだと思います。人によって、どんな音なのかの印象が違いそうなのも面白いですね。
自分は何かVTRを早回しにした時の音にも似ているような気がして、別れを目前にした僕の中で、君とのこれまでのあれこれの記憶が走馬灯のように巡っているような光景を思い浮かべてしまいました、、(笑)考えすぎかもしれませんが、、(笑)
②ストレートな歌詞の中にある含み
今回歌詞を読み込んでいくと、内容自体はストレートでそれほど難しい箇所はなかったと思うのですが、ところどころに「含み」というか、引っ掛かりの仕掛けがあるようにも感じました。
たとえば、サビの中にある「それじゃ僕にとって君は何?」というフレーズ。「君にとって僕は何?」であれば理解しやすいですが、"僕"目線の曲の中でこのフレーズを考えると少し不思議な気もしてきます。
「僕にとっての君」は、最初は「想いを寄せる人」であり、やがて「彼女」になり、これから先別れてしまったら「何でもないただの他人」になる。それが普通の解釈ですが、ひょっとしたらもうずいぶん前に関係性が壊れている以上、すでにずっと前から「僕にとっての君」はただの「彼女のような人/彼女のように思いたい人」だったのかもしれません。僕も薄ぼんやりとそう気づいていて、よくよく考えると否が応でもその結末に辿り着いてしまう。だから「分かりたくもない」と思ってしまうのだとしたら、曲の内容により深みが出るなーなんて思ったりしてます(笑)
そういえば、タイトルの「Pretender」も、「ノーダウト」の時ほどは直接的に曲中で言及がありませんね。pretendは英語で、「~のふりをする」なので、pretenderは「ふりをする人」。もしかすると、当然君も、僕でさえも、お互いの「運命のヒト」の「ふりをしていた人」なのかもしれません。
4. 最後に
さて、いかがでしたでしょうか。私はさすが髭男だなぁと、あっという間に大好きな一曲になってしまいました。
4月30日発売の『ROCKIN'ON JAPAN』6月号にて、「『Pretender』ができるまで」というインタビューが掲載されるそうです!こちらも合わせて読んでみると、より楽曲を楽しめるかもしれません。
GWを控え、春フェスも増えてきますね!気候もいいので、是非皆さん楽しい音楽ライフを過ごしてくださいね!^^
それでは。