映画『スマホを落としただけなのに』主題歌/ポルカドットスティングレイ『ヒミツ』の歌詞の解釈とは?

いよいよ12月に入りましたね…!最近、すぐ夜になってしまうので、ふと寂しい気持ちになります。

 

今日は、タイトルの通りポルカドットスティングレイの『ヒミツ』を取り上げて、歌詞の解釈について書いてみたいと思います!

 

▼「ポルカドットスティングレイ」のリリース情報はこちら

polkadotstingray-official.jimdo.com

 

1. 楽曲と歌詞について

楽曲は、鋭いギターリフがシリアスな印象を掻き立てるロックナンバーです。11/2に公開されている映画『スマホを落としただけなのに』の主題歌になっている一曲でもあります。

 

この『スマホを落としただけなのに』、自分も原作を読みましたが、スマホというデバイスに全てを集約してしまっている現代ならではのミステリーで、非常にゾクゾクしました。(勘が良かったのか、後半は出てくる前に犯人が分かってしまったのですが)ストーリーとしては非常に面白い内容だったです!(一気読みしてしまいました)

 

MVはフルがまだYouTubeに上がっていないのですが、トレーラーが上がっていました。前半はドラマ仕立てになっており、3:00近くから1番の演奏が始まります。

 

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※映画の予告版はこちらです。

ポルカドットスティングレイ、北川景子主演映画の主題歌に決定 映画『スマホを落としただけなのに』予告編 - YouTube

 

▼歌詞

ポルカドットスティングレイ『秘密』

詞・曲:雫

 

秘密が秘密でいられない

あなたの笑顔も無意味でしょう

逃げ場なんて最初から無かった

こうなることを知っていたら

地獄をくぐって逃げたでしょう

今もそっと溶け出す命とか

 

夢か現実かさえもう

私に判断できないの

黒い長髪を引く両手さえ見えなくて

 

逃げられない

内緒の砂漠でそっと踊りましょう

もう一回あの日に戻れたら

後ろの正面が誰だか

 

ああ魔法をかけてよ 声が枯れてゆく

もう見えない何もかも

きっと人肌の疑惑が溢れ出す

開けてしまったって気付いたの

 

堂々巡っている走馬灯

あなたが笑って手を引いて

連れ出してくれると思ってた

 

さよならしたいと願うときに限って

痛いくらいにあなたの顔が浮かぶ

知ってるようで知らない 何も

足取りがおぼつかない

 

まばたきしている間に

世界がどうなっているとか

つゆも知る由のない私を見つめ返す

 

のぞき穴

私が誰だか知っているのでしょう?

視界が晴れるほどあなたが

次第に遠くなってゆく

 

ねえ最後の最後でそっと抱き締めて

もう全部見せるから

宝が詰まって見えるその箱を

開けてしまったって気付いたの

溢れる愛情で溺れそう

 

逃げられない

内緒の砂漠でそっと踊りましょう

もう一回あの日に戻れたら

後ろの正面が誰だか

 

ああ魔法をかけてよ 声が枯れてゆく

もう見えない何もかも

きっと人肌の疑惑が溢れ出す

その箱に私を閉じ込めたつもりだったのに

 

2. 歌詞の解釈について

それでは、ここから具体的に歌詞を解説していきたいと思います。この曲は、「あなた」と「私」の二人の関係を歌った内容になっています。

【1】1番Aメロ 

秘密が秘密でいられない

あなたの笑顔も無意味でしょう

逃げ場なんて最初から無かった

 

こうなることを知っていたら

地獄をくぐって逃げたでしょう

今もそっと溶け出す命とか

嘘をついて人と会っていても、誰かがそのことをSNSに投稿したら人にばれてしまうかもしれない。秘密にしていたことが秘密ではなくなる(リスクがある)のが、インターネットが発達した現代です。

あなたは笑ってごまかそうとするけど、そんな風に取り繕っても意味がない。どうせ明るみに出るのだから、逃げることなんでできなかった(「逃げ場なんて最初から無かった」)のです。

だからこそ、こうなることを知っていたら多少の修羅場を厭わず、それを回避しようとしたはず。冒頭から、何やら不穏な空気が漂いますね。

 

【2】1番Bメロ 

夢か現実かさえもう

私に判断できないの

黒い長髪を引く両手さえ見えなくて

 この修羅場が、夢か現実かさえ、自分には見当がつかない。それくらい信じがたいことなのです。

「黒い長髪を引く両手さえ見えなくて」のフレーズが難解です。「黒い長髪」というのは映画と相まってミステリー・ホラーを連想指せるワードですが、「黒い長髪を引く両手」を見えないと感じているのは「私」と考えると、「私」が何かの光景を頭に思い浮かべているのではないでしょうか。

この「見えなくて」は、本当に見えないという意味よりも、「(現実に)見えなくて」というくらいの意味でしょう。ここは自分の解釈にはなりますが、おそらく「私」は「黒い長髪」の手を「引く」「あなた」を見てしまったのではないでしょうか。だから現実を直視できず、狼狽してしまっている。

 

【3】1番サビ 

逃げられない

内緒の砂漠でそっと踊りましょう

もう一回あの日に戻れたら

後ろの正面が誰だか

「砂漠」は人が周りに誰もいない場所なので、「内緒の砂漠」はプライバシーが確保された空間、といったところでしょうか。秘密が保証された場所であなたに会っているつもりでも、どこからか秘密が漏れてしまい、結局真実からは逃げられないのです。

「後ろの正面」はカゴメの一節です。カゴメは目をふさいで自分の後ろにいる人物を当てる昔遊びですが、もう一回あの日に戻れたら、自分の近くにある女性の影に気づけていたらよかったのに。そんな後悔が歌われているのではと考えました。

 

ああ魔法をかけてよ 声が枯れてゆく

もう見えない何もかも

きっと人肌の疑惑が溢れ出す

開けてしまったって気付いたの

ところが、女性と二人で並んで歩いているあなたを見てしまい他に何も考えられず、そういえばあれも、これも、と「人肌の疑惑」(=女性の影)を連想してしまう。「開けてしまったって気付いた」のは、映画のテーマにもなっているスマホでしょう。「開けてしまった」ではなく「開けてみて、しまったな、と気づく」という意味の方が通りやすいかもしれません。

あくまで疑惑の状態だったものを、スマホを開けるという行為によって言い訳のできない事実にしてしまう、という行為を私はしてしまったのです。 後からしまったと後悔しても、もはや時すでに遅し。彼と自分の関係は壊れてしまったのです。

 

【4】2番Aメロ

堂々巡っている走馬灯

あなたが笑って手を引いて

連れ出してくれると思ってた

 関係が壊れるとなった瞬間、これまでのあなたとの思い出が走馬灯のように巡ります。あなたが笑って手を引いてくれる、そんな日常を勝手に思い描いていました。

 

さよならしたいと願うときに限って

痛いくらいにあなたの顔が浮かぶ

知ってるようで知らない 何も

足取りがおぼつかない

 こんな関係清算しよう、と思うときに限って、あなたの顔がどうしても浮かんでしまいます。ここで初めて、あなたのことは何も知らなかったのだと気づくのです。

 

【5】2番Bメロ

まばたきしている間に

世界がどうなっているとか

つゆも知る由のない私を見つめ返す

 まばたきの間とは、ほんのわずかな時間を表す比喩です。少し目を切った隙に、世界が変わっているということに私は全く気づきませんでした。

 

【6】2番サビ

のぞき穴

私が誰だか知っているのでしょう?

視界が晴れるほどあなたが

次第に遠くなってゆく

 のぞき穴とは、相手には自分の姿が見えず、自分からは相手の姿が見えてしまうという情報が非対称なものです。あなたの浮気相手は、まるで私をのぞき穴から見ているようなもの。自分のことを誰だか知っているのです。すっと引いてみると、あなたが遠い存在になっていきます。

 

 ねえ最後の最後でそっと抱き締めて

もう全部見せるから

宝が詰まって見えるその箱を

開けてしまったって気付いたの

溢れる愛情で溺れそう

 自分という人間はすべて見せるから、せめて最後の最後で私のことを抱きしめてほしい。宝が詰まっているように魅力的に見えた「あなた」というパンドラの箱を開けて、しまったなと今更後悔しています。あなたへの愛情の海に、足を取られて溺れそうになっている自分がいるのです。

 

【7】ラスサビ

逃げられない

内緒の砂漠でそっと踊りましょう

もう一回あの日に戻れたら

後ろの正面が誰だか

 

ああ魔法をかけてよ 声が枯れてゆく

もう見えない何もかも

きっと人肌の疑惑が溢れ出す

その箱に私を閉じ込めたつもりだったのに

 これまでの繰り返しになります。最後の「その箱に私を閉じ込めたつもりだったのに」で、あなたの心の中に閉じ込めたはずの私が実は存在していなかったことを、ようやく悟るのです。

 

3. まとめ

いかがだったでしょうか。自分はこの歌を、「浮気に気づいてしまった女性(=私)」の歌」と捉えています。他にも色々な解釈ができるかもしれません。

ポルカドットスティングレイは、福岡で2015年に結成されたロックバンド。「福岡県出身、何かを企む超常ハイカラギターロックバンド」というキャッチコピー通り、どの曲も印象的なギターリフが必ずあり聴きどころになっています。

 

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メンバーは、雫(Vo/Gt)、エジマハルシ(Gt)、ウエムラユウキ(Ba)、ミツヤスカズマ(Dr)。

 

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代表曲の『テレキャスター・ストライプ』 

 

楽器陣が20代中盤にも関わらずレベルが非常に高いなと思っているのと、ヴォーカル・雫の裏声を交えた歌声も癖になり、直近特に応援しています!

J-WAVEのSPARKでは雫が火曜日のレギュラーを担当しているので、皆様是非聞いてみてくださいね。

www.j-wave.co.jp

 

それでは、また!