紅白歌合戦出場決定!「あいみょん」って誰?/初めて「あいみょん」を聴く人に注目してほしい3つの魅力

気づけば11月も後半に差し掛かりました。2018年もそろそろ終わりですね。

音楽馬鹿としては、12月に最後のフェスラッシュが待っているので、年末が非常に待ち遠しいですが、あっという間に2019年になり、26歳になりそうで、なんとなくそわそわします…。

 

1. あいみょんが今年の紅白に出るなんて誰が予想しただろうか

 さて、年末の国民的歌番組といえば、「紅白歌合戦」ではないでしょうか。2018年も、先日出場歌手が発表になりました。今年の顔ぶれはこちらです。

 

■紅組
aiko(13)
あいみょん(初)
いきものがかり(10)
石川さゆり(41)
AKB48(11)
丘みどり(2)
欅坂46(3)
坂本冬美(30)
島津亜矢(5)
Superfly(3)
DAOKO(初)
天童よしみ(23)
TWICE(2)
西野カナ(9)
乃木坂46(4)
Perfume(11)
松田聖子(22)
松任谷由実(3)
MISIA(3)
水森かおり(16)
Little Glee Monster(2)

■白組
嵐(10)
五木ひろし(48)
EXILE(12)
関ジャニ∞(7)
King & Prince(初)
郷ひろみ(31)
Suchmos(初)
三代目 J Soul Brothers(7)
純烈(初)
SEKAI NO OWARI(5)
Sexy Zone(6)
DA PUMP(6)
氷川きよし(19)
福山雅治(11)
星野源(4)
三浦大知(2)
三山ひろし(4)
山内惠介(4)
ゆず(9)
YOSHIKI feat. HYDE(初)

 

NHK紅白歌合戦 公式ページ

出場歌手|第69回NHK紅白歌合戦

 

いやー。バンドファンとしては、「あいみょんまじか!!!」のリアクションに尽きますw

(正直、びっくりしすぎてあいみょん大ファンの友達に思わずLINEしました)

 

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あいみょん

 

2018年の3月くらいまでは、カラオケで歌っても「誰?あいみょんって」状態だったのに。年末にはまさか紅白に出ているなんて、誰が予想したでしょうか。

 

ちなみに、Google検索の検索数を調べられるGoogleトレンドというツールがありますが、それを見るといかにあいみょんの大爆発がすごいかが一目瞭然です。

 

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今年大ブレイクしたOfficial髭男dismやMy hair is badヤバイTシャツ屋さんと比べても、やはり検索数が爆伸びしていることが分かります。

 

オリコンの売上こそTOP10に入っていませんが(『マリーゴールド』で過去最高26位)、JOYSOUNDのカラオケアクセスランキングで6位(11/19時点)、YouTubeの再生数は2300万回超え(『愛を伝えたいだとか』) と、その人気ぶりはとどまるところを知らない様子です。

 

あいみょんの売上ランキング | ORICON NEWS

アクセスランキング-歌手|JOYSOUND.com

あいみょん - 愛を伝えたいだとか 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube

 

この記事を読んでいただいている方は、もうすでに結構な音楽マニアの方が多いと思うのですが…。Google検索から初めて訪れて頂いた「あいみょんって誰だよ?」のあなた、「なんでこんなに流行ってるの?」なあなた、「何年も前から知ってたし!」というあなたに向けて、今一度「あいみょんとは?」をテーマに筆を執ってみたいと思います。僕なりの言葉で精一杯、あいみょんの魅力を伝えてみます!

 

2. 10代・20代女子の心を掴み、弾き語りから大ブレイク!

まずは、あいみょんのプロフィールについて紹介しておきます。

 

あいみょん

本名:非公開

誕生日:1995年3月6日(23歳)

出身地:兵庫県西宮市

"歌手に成りたいという夢を持っていた祖母や、PAエンジニアである父の影響で作詞作曲を始める"

"音楽的ルーツは浜田省吾フリッパーズ・ギター及び小沢健二平井堅などの異なる性ゆえに自分とは正反対の感性で言葉を選ぶ男性のシンガーソングライター"

あいみょん - Wikipedia

 

音楽に興味を持ったのは小学校4年生の頃。もともとはあまり明るい子ではなく人付き合いも苦手だったとか。高校を一度退学していますが、その後周囲から孤立した期間が1年くらいあり、それがきっかけとして自分の人生が変わったと話しています。その後2015年に、本格的に音楽の道を志すことになります。

【インタビュー】あいみょん 23歳 「一人」の期間が教えてくれたこと - YouTube

 

 音楽を始めてからは、関西を拠点に弾き語りなど地道に活動を重ねます。このころの映像が残っていましたが、当時から声量やピッチの正確さがすごいです。。。友人がYouTubeにアップしてくれた動画がレコード会社の目にとまり、2015年に『貴方解剖純愛歌~死ね~』でインディーズデビューします。

【貴重映像メジャーデビュー前】あいみょん 「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」 - YouTube

 

それから約3年、着実に知名度を上げてきていましたが、今年は飛躍の年になりました。主に10代、20代女性に圧倒的な支持を得て、夏に出演したロックフェスは小規模なステージながら入場制限が出るほどの客入りに。Mステ出演、ドラマや映画のタイアップ、そして紅白出演を果たしています。

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あいみょん-カラオケ・歌詞検索|JOYSOUND.com

 

3. あいみょんの見どころ・聴きどころ

なぜ、あいみょんがこれほどまで多くのファンから支持されるのか?これが、あいみょんの見どころであり聴きどころでもあるのですが、①メロディ②歌詞③パフォーマンスの3つのポイントからそれぞれ説明してみたいと思います。

 

①メロディの良さ-懐かしさと新しさ、爽やかさと洗練さのバランスが聴きやすい

あいみょんの良さの一つに、メロディが挙げられると思います。何曲か聞いて頂くだけでもわかるかと思いますが、癖のない声に音のバランスもよく、とにかく聴きやすいです。続けて聴いても疲れない。

その中でも、自分が特に好きなのはあいみょんの作るメロディの中に、懐かしさと新しさ、爽やかさと洗練さが共存しているところだと思っています。

 

例えば、有名曲の『君はロックを聴かない』。この曲はシンプルな音作り、開放的なサビの旋律やMVの印象とも相まって、どこか懐かしく、爽やかな印象を聴き手に与えています。あいみょんの音楽的ルーツの一つに歌謡曲がありますが、この曲はその影響を大きく受けている一曲だと思います(個人的には"ロックなんか聴かないと思いながら"のメロディが、弾んでいて好きです)。

 

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一方で、先にも紹介した人気曲『愛を伝えたいだとか』や2018年にリリースした『満月の夜なら』は、バンドサウンドにシンセの音を足していて、特にサビ前までのリズムや節回しも複雑になっています(カラオケで歌うのが超難しい!!)。この曲には、今どきの新しさや洗練された印象を受けますね。

 

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②歌詞の良さ-さりげない心理描写につい共感してしまう

10代、20代女子の支持を集めている理由のひとつに、あいみょんの描く歌詞の世界観があると思います。どの歌詞も 、日常を歌っているものでありながらユニークで、激情的であったり耽美だったりします。

メディアは、よく『貴方解剖純愛歌~死ね~』や『生きていたんだよな』の歌詞の過激さがクローズアップされますが、僕は歌詞の過激さだけでなく、切り取るシーンや表現のうまさにも注目して聴いてほしかったりします。

 

例えば、『ふたりの世界』の中の、以下の一節。

私あなたがいつもコンビニで買う

コーヒーは分かってたつもりなのに

間違えちゃったことがショックで

今日は寝れないみたい

『ふたりの世界』

 付き合っている相手のことを、全て知っているというような無意識の油断があって、でも完全に知っているなんていうことはなくて。日常の中のふとしたひとコマでそれに気づかされてはっとすることってありますよね。

「あなたについて知らないことがあってショックだった」 という感情を、こんなにも自然に歌にできるあいみょんがすごいなと思ったりします。

 

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あとは、以前に書きましたが、このフレーズも本当に好きです。

結局のところ君はさ

どうしたいの?

まじで僕に愛される気あんの?

 『愛を伝えたいだとか』

本当に失礼ですが、付き合ってくれた彼女に、ぶっちゃけたまに思ってます(笑)。

 

③パフォーマンスの良さ-迫力のステージでも、MCは自然体で

紅白を見て、いいな!と思った人がいれば、是非ライブにも足を運んでみてください。ライブでのあいみょんの魅力は、ステージの圧巻さと、自然体のMCのギャップだと思います。

まず、歌はものすごくうまいです。いい意味で、音源そのままのクオリティで、より迫力を持って響いてきます。パワフルで、シンガーソングライターってまさに、自分の中に湧き上がる言葉を歌にする人だなぁと、月並みながら思ったりします。

YouTubeにはないですが、1曲目の定番曲『憧れてきたんだ』がオススメです)

 

それでいて、MCは脱力系というか、自然体。関西弁訛りが親しみやすく、たまにあまり見かけない不思議な服を着ているし、どこにでもいそうな普通の女の子なのです。だからこそ、聴く人にとって共感しやすいのかもしれません。このギャップを肌で感じると、悔しいけどいちアーティストとしてきっと惚れてしまうと思います。

 

4. おまけ

さて、ここまであいみょんの魅力について、3つのポイントから語ってきましたが、いかがだったでしょうか(気が付いたら長くなりました。ちょっと熱くなりすぎたかもしれません…)。

以前、あいみょんの新曲『GOOD NIGHT BABY』について書いた記事では、あいみょんの歌詞についてより踏み込んで説明していますのでよかったらついでにそちらも見てみてください!

【楽曲解説】あいみょん『GOOD NIGHT BABY』の歌詞の解釈とは? - 邦楽ラッシュ!~お酒を飲みながら、音楽について考えてみた~

 

それでは、今日はこの辺にしておきます!まだまだ2018年は残っているので、年の締めくくりにたくさんライブにいって、たくさん更新したいと思います!

 

それでは^^!

【ライブレポート】KEYTALKメジャー5周年@LIQUIDROOM/5年前も5年後も-変わらないKEYTALKの眩しさについて

今日はKEYTALKのメジャーデビュー5周年ライブ@恵比寿LIQUIDROOMでした。

 

例によってライブ終演直後余韻が冷めやらぬうちにこの記事を書いているのですが、2Daysの初日ということでネタバレにならないよう拡散は20日の公演終了後までしないようにしようと思います。

 

それでは、早速熱いライブの模様を振り返っていきたいと思います!

 

1. 恵比寿LIQUIDROOMKEYTALK

ライブのレポートに入る前に、今回のライブ会場である恵比寿LIQUIDROOMKEYTALKの関係について少し書いておきたいと思います。

恵比寿LIQUIDROOMは、恵比寿にある収容人数約900名の大規模ライブハウスです。5年前の2013年11月にこの会場でライブを行ってから、メジャーデビューを発表しました。

今回のライブのタイトルは「恵比寿LIQUIDROOM - KEYTALK Major Début 5th Anniversary Special Live 〜そこらのギターかき鳴らして歌い出して5年目の真実〜」

直近アリーナやホール、武道館など大きな会場でのライブを目標にしてきた彼らが、5周年を記念する大切なライブをこのLIQUIDROOMでやるところに、「原点回帰」をするという本人たちの熱い想い入れを感じます。

 

ちなみに、19日に対バンで登場した事務所の後輩バンドBenthamは、5年前のライブでKEYTALKのオープニング・アクトを務めたんだとか。帰り際に、『パブリック』の入ったCDを手渡しして挨拶していたそうです(そう考えると、5年って長い…)。

 

また、開演を待つ間に流れるBGMは、どれもこれも2013年の曲ばかり(当時大学2年生で、印象の多い曲ばかりだったので気づきましたw)。そう考えると5年って遠いような、最近のような、不思議な気持ちにさせられます。

 

・BGMで流れた曲 ※一部のみ

KANA-BOON『1.2. step to you』 

ケラケラ『スターラブレイション』

キュウソネコカミ『ファントムバイブレーション』

ゲスの極み乙女。『キラーボール』

E-girlsごめんなさいのKissing you

きゃりーぱみゅぱみゅにんじゃりばんばん

AKB48恋するフォーチュンクッキー

 

メジャーデビュー直前のライブではないですが、当時彼らがここLIQUIDROOMでライブをした時の映像がKEYTALK TVに残っていました。彼らはこの時25歳。今の自分と同年齢と思うと、感慨深いです…w

 

www.youtube.com

 

2. セットリスト

19日はBenthamとの対バンでした。セットリストは以下の通りです!

Bentham

1. FATEMOTION

2. TONIGHT

3. タイムオーバー

4. 僕から君へ

5. クレイジーガール

6. 激しい雨

7. パブリック

KEYTALK

1. UNITY

2. アゲイン

3. fiction escape

4. 桜花爛漫

5. Love me

6. Summer Venus

7. コースター

8. マキシマム ザ シリカ

9. OSAKA SUNTAN

10. MONSTER DANCE

11. トラベリング

12. お祭りセンセーション

13. MABOROSHI SUMMER

14. アワーワールド

En.

1. スポットライト

2. 夕映えの街、今

 

先回のホールツアーでもレア曲を連打してきた印象がありましたが、今回もインディーズ時代の曲を中心に懐かしい曲を惜しげもなく盛り込んだファンにとってはうれしいセットリストだったのではないでしょうか。『トラベリング』や『夕映えの街、今』といった昔からの大事な曲はもちろん入っていますし、1曲目~3曲目を、5年前のセットリストと全く同じにそろえるあたりも遊び心満載ですよね。

 

また、「今日はお祭りですよね?」という巨匠のあおりからのタイトルコールが『MATSURIBAYASHI』ではなく『お祭りセンセーション』というのは、今回も裏をかかれました(直近、予想を裏切る意外性は彼らのライブで常に意識されている気がします)。

 

ちなみに、自分はBenthamもよく聴くのですが、Benthamで一番好きな曲『僕から君へ』を武正とのコラボで聴けたのは、普段にない演出でテンションがぶちあがりました(武正出てくると思いませんでした…)!

 

いつもの彼らのライブと比べると曲数はやや少なめというのもあるかもしれませんが、非常にスピード感のあるライブだったと思います。

 

3. どんなに成長しても変わらないから「眩しい」。

今回、随所に2013年のライブを意識した演出が取り入れられ、"5年"という時間の経過をライブにおける一つの軸に据えようという意図が感じられました。

この5年間、KEYTALKは着実にファンを増やし、音楽性を広げ、パフォーマンスを進化させてきました。ただ、今回のライブで目立ったのは、5年という歳月の間に「変わったこと」ではなくて、むしろ「変わらなかったこと」なんじゃないかと。自分はそんな風に受け取りました。

 

KEYTALKというバンドを魅力的にしているものの一つに、「メンバーの仲の良さ」があります。単に「仲が良い」といってしまえば簡単だけど、ライブに行くと、自分にはこの「仲の良さ」がどんなバンドよりも眩しく映ります。この眩しさがあるから、5年間ファンを魅了し続け、メジャーのシーンを突っ走ってきたバンドだと思うのです。

 

バンドという関係性は当然仲良しこよしではない。始終一緒にいて、自分たちの表現したものでお金をもらって食べていかなければいけない。だからこそ、「ビジネス」と割り切って音楽をやる、という方針のバンドが多いのも事実だと思います。

 

音楽は実際ビジネスなので、その割り切り自体は何も不思議ではないと思うのですが、KEYTALKにはいい意味でパフォーマンスにビジネス感がない。まるで文化祭を見ているように、自分たちもライブを楽しんでいるし、見る人も楽しませようという気持ちも強く感じるのです。自分は月に何本もライブに行っていますが、ライブを見れば見るほど、メンバーを信じて音楽をできているこの関係性が、デビュー前の下積み時代から変わらず続いているKEYTALK尊いなぁと感じます。

 

BenthamのオゼがMCで、5周年おめでとうという祝いの言葉とともに、こんなようなニュアンスの言葉を言っていました。「BenthamKEYTALKは本当によい関係。こんな関係性ってなかなかない」。その言葉も、心から音楽を楽しみ、音楽で楽しませようという純粋な気持ちを持ち続けているKEYTALKを尊敬する気持ちから出た言葉なのではないでしょうか。

 

過去を振り返ろうと思えるのは、その過去が自分にとってかけがえのない、素晴らしい記憶になっているからだと思います。音楽を楽しみながら走り続けてきたKEYTALKのこの5年の歩みは、ファンはもちろん、彼ら自身にとっても誇らしく、かけがえのないものだったはずです。

 

10年目を目指す次の5年間も、より一層素晴らしいものになることを願ってます!

 

次のライブは12月。楽しみです~!^^

【楽曲解説】フレデリック『light』MVや歌詞の意味は?未来を見据え、攻めた新境地

※仕事で山場があり、久しぶりの更新になってしまいました。。。

 

さて、11月16日からフレデリックの新曲『light』の配信がスタートしました。

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(左から、赤頭隆児(Gt)・三原康司(Ba)・三原健司(Vo/Gt)・高橋武(Dr)。)

 

印象的なMVやこれまでの彼らの楽曲のイメージと違った仕上がりに、リリース2日で早くも話題沸騰しています。

これまでの彼らの楽曲と比べて、『light』は何が新しいのか?フレデリックはどんな想いでこの曲をリリースしたのか?

 

今日は、MVや歌詞、音作りの解説に加えて、彼らが楽曲に込めた想いの部分にもスポットを当てて書いていきたいと思います。

 

フレデリック『light』のリリース情報はこちら

frederic-official.com

 

1. 楽曲について

まず、『light』は11月16日(金)に、配信限定でリリースされました。
iTunesや、一部音楽配信サイトでダウンロードできます。

また、YouTubeでMVも見ることができます。

 

www.youtube.com

 

2. テーマ性の強いMVは南アフリカヨハネスブルクで撮影

 上記のリンクを見るとすぐお気づきになるかと思いますが、『light』のMVはこれまでのフレデリックの楽曲のそれとは一線を画したものになっています。

 

これまでは、メンバー4人の演奏シーン+印象的なキャストを使ったダンスシーンで構成されたものが中心でした。思わずマネしたくなる振付け含め、「踊れるロックを印象付ける」「ライブの場で楽しく踊れる準備ができる」といった役割をMVに持たせていたと思います。

 

・『オドループ』MV

フレデリック「オドループ」Music Video | Frederic "oddloop" - YouTube

 

・『オワラセナイト』MV

フレデリック 「オワラセナイト」 Music Video | Frederic"OWARASE NIGHT" - YouTube

 

・『オンリーワンダー』MV

フレデリック「オンリーワンダー」MusicVideo / frederic“ONLYWONDER” - YouTube

 

一方で、今回は本人の登場シーンはほんの一瞬で、大部分はダンスシーンが中心。東京と南アフリカヨハネスブルクで撮影を行っており、「ダイバーシティ」や「ボーダーレス」を表現するなど、映像におけるテーマ性を非常に重視した仕上がりになっています。

 

"メディアも企業も政治家もダイバーシティの必要性を声高に叫ぶ一方で、トランプイズムが世界中に蔓延していく、そんな世の中で「真のダンスミュージックはトライブも、人種も、国境も、あらゆる人々の境目を超えていく」といったことがテーマになっているという。"

"【渡邉直監督 コメント】

文化の垣根を越えたことで、心の中にある光の本質を描くことができた。言語ではなくて音楽だからこそ越えられたし、ダンスだから越えられた。楽曲の良さを最高レベルに引き出すことができたと思います。今後もっと日本の音楽が国内だけに留まらず海を渡って欲しいし、どんどん高みを目指せる環境になっていくことを願っております。"

フレデリック、時空を超えて東京とヨハネスブルグがダンスで繋がる“LIGHT”のMV公開 (2018/11/15) 邦楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

 

3. メッセージ性の強いシンプルな歌詞

ここで、歌詞についても見ていきましょう。 

 

▼歌詞

フレデリック『light』

詞・曲:三原康司

 

FLASHBACK LIGHT 思い出して 心に灯(あかり)を

 

あなたは正しい  表と裏を持ち合わせてるから

そんな見窄(みずぼ)らしい 怒りの影は落とさずに

ヒカリ テラセ イマ

FLASH もう止められない

 

FLASHBACK LIGHT 思い出して 心に灯(あかり)を

 

輝くほどに影はそばで深くなっていくんだから

決める選択肢 今しか描けないドラマに

 

ヒカリ テラセ イマ

FLASH もう止められない

 

FLASHBACK LIGHT 思い出して 心に灯(あかり)を

 

Give it up for you light

To light

 

光を 姿を 夜の隙間に歌う歌を

光を 形を なぁ 君の暗闇を そっと照らして

 

Give it up for you light

 

FLASHBACK LIGHT 思い出して 心に灯を

 

FLASHBACK LIGHT

 【1】1番

 FLASHBACK LIGHT 思い出して 心に灯(あかり)を

冒頭は「FLASHBACK LIGHT」というフレーズから始まりますが、このことばが曲を通じてのキーメッセージとなっています。

この"light"は「心に灯を」といっているように、物理的な光ではなく、心の中で灯す希望を指しています。

 

あなたは正しい  表と裏を持ち合わせてるから

そんな見窄(みずぼ)らしい 怒りの影は落とさずに

ヒカリ テラセ イマ

FLASH もう止められない

 人間は人に見せられる、明るい"表"と、決して誰にも打ち明けられない"裏"の面を持っています。誰しも二面性があって当たり前だから、それを持っている"あなたは正しい"のでしょう。

"見窄(みずぼ)らしい"は外見が粗末なことを言いますが、思わず怒りの影ばかり見せていると見え方が悪くなってしまいます。

光と影、どちらもあることは受け入れたうえで、光のほうに意識を向けようよ、と歌っています。

 

 【2】2番

 輝くほどに影はそばで深くなっていくんだから

決める選択肢 今しか描けないドラマに

 繰り返しが多い中で、この部分も印象的なフレーズですね。光と影は合わせ鏡で、光を求めれば影が付くことは避けられない。かつ、より明るい方へ向かうとその濃淡はよりくっきりとします。

その中で、今しか描けないドラマ(=光)を進む道として選びたい、という意志を感じます。

 

人間は誰しも二面性があり、光があれば影もある。その中で、光の方へ向かっていこうというワンメッセージをシンプルに歌い上げる楽曲です。

 

4. 『light』はこれまでのフレデリックと何が違うのか?

さて、ここまでMVや歌詞を見てきましたが、ここからが本題です。タイトルの通り、今回の新曲『light』の新しさや聴きどころを、過去の彼らの楽曲と対比して整理してみたいと思います。

 

色々な観点から語れると思いますが、今回は①サウンド・②歌詞・③コンセプト、の3点で説明していきます!

 

 サウンド

 YouTubeのコメント欄の反応にもある通り、『light』はEDMの要素が強い音作りになっています。これは、これまでのフレデリックにはなかった新たな試みです。

 

『light』では、メロディの骨組みや展開は大半がシンセサイザーや打ち込みになっています。これまでも打ち込み自体は用いられていたのですが、ギターリフが主体のメロディ構成になっていたのに対して、今回は完全に電子音が主体になっています。

 

またBPMも、これまで踊れる要素が強い楽曲としてリリースされたものと比べるとテンポがゆったりめな印象です。EDMのBPMがだいたい128程度といわれますが、『light』は125~126程度。そういった意味でも、EDMに忠実ですね。

フレデリックは11月20日に、LINELIVEで「LIGHT LIVE♩=120~140」という企画の実施を予定しています。『light』においては、それだけこのBPM126のテンポが重要になっているということの証なのではないでしょうか)

 

また、メロディにおいても、Aメロ→Bメロ→サビの繰り返しの構成になってはいますが、サビにおけるフレーズの反復の印象はいつもほど強くありません。

(例えば、『リリリピート』の「リピートして リピートして リピートステップして」や、『TOGENKYO』の「桃源郷 待って 待ってほら 桃源郷 待って 待って」などがここでいう反復の例になります。)

このリピート感で「フレーズが印象に残り、癖になる」というのがフレデリックの中毒性な気がしますが、『light』はそれと比べると非常にあっさりとしており、中毒性よりも「ノれる」要素のほうが強く感じます。

 

 ②歌詞

 前に書いたフレーズの反復とも重なりますが、意味が良く分からないけど記憶に残るいつもの「独特の引っ掛かり」はそれほどありません。

また『トウメイニンゲン』や『まちがいさがしの国』のような風刺ではなく、聴き手へワンメッセージを非常にシンプルな言葉で伝えています。

 

※ちなみに、自分が印象に残っている引っ掛かりで言うと、例えば以下のような感じです。

『オワラセナイト』-「終電感情線外回りに間に合わないよ」

SPAM生活』-「死んだサカナのような眼をしたサカナのような生き方はしない」

『ディスコプール』-「涙のプールサイドは走るな」

 

 ③コンセプト

 楽曲における「コンセプト」色が強いのも、この曲の新しさだと思います。

フレデリックは、(彼らが「フレデリズム」というように)「リズムの共有、体感温度の共有」を特に大事にしているバンドだと思います。だからライブに行くと、猛烈に踊るわけではないのに不思議とリズムで皆が一体になれる。これまではそのフレデリズムを聴き手が感じられるための音作り・言葉選びが主体の楽曲が多かったと思います。

一方で『light』は、「トライブも、人種も、国境も越えて」皆が一体になるという非常に壮大なコンセプトに挑戦しています。おそらく、ここまではっきりと「コンセプト」を立てた楽曲はこれまでの彼らにはなかったと思います。だからこそ、彼らの得意技をある意味"封印"して、それを成し遂げるための表現方法に振った楽曲になっていると感じました。

 

5. 守りに入らなかったフレデリックの試みを応援したい

今回のリリースに当たって、作詞・作曲をしたベースの三原康司はこんな風にコメントしています。

 

フレデリックのダンスミュージックの一つのスタイル「LIGHT」

賛否両論がある楽曲だと思う、声にしてくれて事自体が嬉しいからありがとうございます☺︎
1番嫌なのは無関心だから

今回は攻めたかったんよな、うん

まぁアルバムを聴いてくれてる人は気付いてるはず色んなタイプの曲がフレデリックにはあってその1つ

より攻めましたぜ
攻めると責める人もいるけど攻めなくてどうすんだよって思うよな!

自分たちの面白いを証明する為の対価はたくさんあるし今でも身に沁みて感じてる
人間だから

ステージが大きくなればなるほどスポットライトを浴びるその分影の部分も大きくなってくる
何を選ぶか

だから俺らは面白い方に一歩踏み出しました
一歩踏み出さないとなにも始まんないから
勇気もいるけど自信があったからな

そして実際に生まれたものは作品としてボーダーレスな音楽

境界線をなくせるのはやっぱり音楽でした

明暗を持ち合わせてるのは当たり前のこと
どちらも大事に良い部分も悪い部分も素直に照らしてこう

もしそれでもダメな日があってもさ
今回の曲を聴いてみて

この曲やMVには理想のあるべき姿がある
人が繋がる光景は文面だけじゃ伝わらないくらい綺麗なんや

イメージがあれば変わっていける
ネガティヴからクリエイティヴは生まれない
イメージを生むのだFLASH!! 今フレデリックがこういう音楽を面白いなって思う前を向いた形がLIGHT

そんな新境地な曲が生まれました。

https://www.instagram.com/p/BqTsReRA6Fi/

 

このコメントからも、この曲がこれまでのフレデリックにとっての正攻法ではないということを、メンバー自身が認識していること、そして挑戦せずにどうするとあえて振りにいった覚悟が伝わってきます。

さらに、そんな勝負を仕掛けた楽曲で、"国境も価値観も超える「音楽の力」を信じている"というスケールの大きなコンセプトを掲げているのも、とびきりチャレンジングです。

 

フレデリックも、最初に自分がライブを見た時から着実にファンを増やしている大人気バンドの一つですが、これからの成長がもっと期待されるバンドです。

唯一無二の楽曲センスで評価を受けながら、もっと成長したいとこのタイミングでこういった挑戦に振り切った彼らを、応援したいなと思っています。

まだリリースされたばかりなので、この曲がどんな形で披露されるのかが非常に楽しみですが、是非これからフレデリックを語る上で、重要な一曲になってほしいなと思っています。

 

ライブの演奏、演出含め、非常に楽しみですね!

 

【ライブレポート】KEYTALK初のホールツアー!ノンストップの1時間半で見えたもの

10月、KEYTALKは「HALLTOUR2018 目指せホールインワン あなたの心へ100ヤード」と題した初めてのホールツアーを全国4箇所で開催しました。

 

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自分も10/6の大宮ソニックシティ・10/29(今日)のNHKホールと2回参戦してきたので、今日はここでライブの感想を語ってみたいと思います!

 

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気持ちは熱いうちに…ということで、バリバリ平日ですが、今日も更新しちゃいます!!

(劇的に関係ないですが、今日は季の美のジントニックを飲みながら書いています…季の美うま。)

 

1. セットリスト

今回、大宮・NHKホールと、それぞれ曲の構成は概ね同じものの、順番や内容を入れ替えていました。

2度参戦する人にも新しい楽しみを残しておいてくれるのはさすがKEYTALKですね~。

 

■10/6 大宮ソニックシティ

1. アーカンザス

2. MONSTER DANCE

3. nayuta

4. Love me

5. お祭りセンセーション

6. color

7. アオイウタ

8. MURASAKI

9. フォーマルハウト

10. Human Feedback

11. sympathy

12. 秘密

13. ASTRO

14. blue moon light

15. a picture book

16. ブザーヒーター

17. 東京シネマ

18. 夕映えの街、今

19. ナンバーブレイン

20. パラレル

En

22. MATSURI BAYASHI

23. Summer Venus

 

■10/29 NHKホール(★は大宮から入れ替え) 

1. Human Feedback

2. トラベリング★

3. 秘密

4. ASTRO

5. アーカンザス

6. MONSTER DANCE

7. nayuta

8. Love me

9. フォーマルハウト

10. シンドローム

11. color

12. 東京シネマ

13. MURASAKI

14. blue moon light

15. a picture book

16. ブザーヒーター

17. スターリングスター

18. 夕映えの街、今

19. ナンバーブレイン

20. HELLO WONDERLAND★

21. 太陽系リフレイン★

En

22. MATSURI BAYASHI

23. 桜花爛漫★

WEn

24. Summer Venus

 

見て頂いて分かる通り、アルバムやB面の曲も多く、非常にコアな曲選でした、、!久々に聴いて、こんな曲あったなぁ、いい曲だなぁという、久しぶりの再会・新たな出会いが楽しいライブでしたね!

(そして懲りずに、今回もSummerVenus騙されました!カバン持って帰ろうとしてたw)

 

2. ホールツアーの"弱み"をホールツアーだからこその"強み"に

今回、偶然にも自分は2回ともホールの2階席・3階席の上部、という、普通であれば「良席」とは言えない席でライブを観覧しました。

その分、じっくりと音楽に集中することはできたのですが、ライブハウスや野外フェスが多いKEYTALKのライブでは、あまりない経験でした。

 

スタンディングのライブの場合、やる気次第で、最前列に回ることも難しくないですが、ホールはそうはいきません。

おまけに、アリーナ等ではもはや一般的になった大画面のビジョンも導入できないため、距離が遠い人は大げさでなくメンバーが「豆粒」くらいに見えたと思います。

 

そうなってくると、メンバーの表情を見たり、手元を見たり、といった楽しみはなくなるわけで。隣の人ともスペースが区切られているから、接触もない。必然的に、"音"に集中する空間になるわけです。

 

今年は何度となくロックバンドのライブに行っていますが、そういえばこういうの久しぶりだな、というのが、正直な感覚でした。ライブの空間の熱っぽい雰囲気が好きで、毎回全力でぶつかっていたという自負はあるのですが、改めて演奏を"聴く"ことをメインにライブに来る、という基本的な体験が、気づいたら少し遠くなっていたかもしれません。

 

実際、当たり前ですが、ライブハウスならではの効果に、当の本人(=KEYTALK)たちも気づいている。だからこそ、"盛り上がり"を重んじる普段のライブではなかなかできないようなコア曲を中心に、厳選した20数曲をこれでもかと全力疾走で駆け抜けたのだと思います。来てくれた人には、今回のライブで初めて知る曲・改めて惹かれる曲に出会ってほしい。そんな意図が、至るところで感じられました。

 

物理的な距離は遠くても、心に届く演奏にしたい-「あなたの心へ100ヤード」の意味が、ライブに行って初めて本当に納得しました!

 

3. 会場を選ばないバンドになるんだという意志

 今回、ホールツアーは(前に書いた幕張とはまた違う意味で)本人たちにとっての挑戦だったと思うのですが、「ホールツアーをやってみたかった」というMCでの巨匠の発言曰く、特に意図して"狙った機会"だったのではないでしょうか。

 

 ライブハウスを熱気に包むバンド、アリーナを沸かせられるバンド、ホールにはホールの楽しみ方を見せてあげるバンド…会場(≒楽しみ方)を限定しないバンドに今後なっていきたいという意志が節々に感じられたライブでもありました。自分も今回改めて、何曲もメロと歌詞の良さに気づかされました。ホールツアー、大成功だったと思います、、!

 

KEYTALKはメジャーデビューを2013年にしてから、今年で5周年になります。今日のライブの終わりには、5周年の節目にメジャーデビューを発表した恵比寿LIQUIDROOMで原点回帰となる2Daysライブをすることが発表されました!(もう一カ月切っているw)

 

keytalkweb.com

 

 何年経っても、KEYTALKKEYTALK。音楽性や演出はちょっとずつ変わっていますが、彼らの根本の良さは変わっていないので、だからこそ毎回のライブに期待しちゃいますね!来月も楽しみだ。

今日は「フォーマルハウト」と「a picture book」を聴いて、余韻に浸りながら寝ます~!

 

それではまた!

【楽曲解説】Official髭男dism(ヒゲダン)アニメ「火ノ丸相撲」主題歌『FIRE GROUND』の歌詞や曲の魅力とは?

直近各地のフェスにも積極的に出演し、飛ぶ鳥を落とす勢いでファンを増やしているOfficial髭男dism―通称「髭男(ヒゲダン)」。

今日はその髭男の新曲『FIRE GROUND』について、歌詞の意味や楽曲の特徴を考えてみたいと思います。

(あと、最後におすすめの3曲紹介付きですw)

 

Official髭男dismのリリース情報はこちら

higedan.com

 

1. 楽曲と歌詞について

楽曲は、10月17日リリース「Stand By You」の2曲目に収録されています。

リード曲「Stand By You」は独特のグルーブが癖になる一曲。

こちらはタイアップが付いていませんが、今回紹介する『FIRE GROUND』はアニメ「火ノ丸相撲」の主題歌になります。

 

▼楽曲はこちら

www.youtube.com

 

▼歌詞

Official髭男dism『FIRE GROUND』

詞・曲:藤原 聡

 

1つとして アドバンテージなんてない

「向いてない」「センスない」 誰もがそう言って笑ってる

なんて事ない ビビる必要はない

結果1発で180度 真っ白な歓声に変わるぞ

 

アイデンティティのイス取りゲームはとっくにオーバー YEAH

それでも弾かれまいと世界を 両足で握りしめる

 

真赤な本能 汗だくのSOUL

難題だらけのジャストザウェイユーア―

貫き通そう 削ぎ落す憎悪

余裕なんてかますつもりもない

背負い込んだ感情は HI-HEAT UP  HI-HEAT UP

掴み取るのだ理想像を

真っ赤な本能 汗だくのSOUL 残ったのはどっちだ?

 

1つとして 確かなもんなんてない

「向いてない」「センスない」 歴史のストーカーが騒ぎ出す

天才? 秀才? 20年にたったひとりの逸材?

そんな安い言葉売っぱらって 替えのきかない目で見つめろ

 

熱血ド根性 満身創痍のロックンローラー YEAH

誰ぞにけなされたそのセンスで 常識を作り変える

 

真赤な本能 汗だくのSOUL

難題だらけのジャストザウェイユーア―

貫き通そう 削ぎ落す憎悪

顔色なんてうかがっちゃバカみたい

意地っ張りの闘争は HI-HEAT UP HI-HEAT UP

掴み合う鬼の形相

真っ赤な本能 汗だくのSOUL 膝をつくのはどっちだ?

 

真赤な本能 汗だくのSOUL

難題だらけのジャストザウェイユーア―

貫き通そう 削ぎ落す憎悪

余裕なんてかますつもりもない

背負い込んだ感情は HI-HEAT UP  HI-HEAT UP

掴み取るのだ理想像を

真っ赤な本能 汗だくのSOUL 残ったのはどっちだ?

 

残ったのはどっちだ?

 

2. 歌詞の解釈について

それでは、ここから具体的に歌詞を解説していきたいと思います。

歌詞自体は繰り返しが多く、ストレートな言葉選びなので、それほど難しくありません。

【1】1番Aメロ

1つとして アドバンテージなんてない

「向いてない」「センスない」 誰もがそう言って笑ってる

なんて事ない ビビる必要はない

結果1発で180度 真っ白な歓声に変わるぞ

 曲はゴリゴリのギターリフから始まりますが、歌詞も世間への挑戦状といったところでしょうか。

まだ何もない自分には強みがないけれど、だからといって周囲の批判や嘲笑に耳を貸す必要なんてない。結果を出せば、たちまち世の中が自分たちを褒める世界になる。

常日頃我々を悩ませる、"世の中の変わりやすさ"について歌っています。

 

【2】1番Bメロ

アイデンティティのイス取りゲームはとっくにオーバー YEAH

それでも弾かれまいと世界を 両足で握りしめる

アイデンティティ」=自分の存在意義は、「イス取りゲーム」=限られたポジションの奪い合いの中にさらされています。そのポジションがもう埋まっていたとしても、それで世界から弾き出されないように居よう、という強い意志が感じられます。

 

【3】1サビ・ラスサビ

 真赤な本能 汗だくのSOUL

難題だらけのジャストザウェイユーア―

貫き通そう 削ぎ落す憎悪

余裕なんてかますつもりもない

背負い込んだ感情は HI-HEAT UP  HI-HEAT UP

掴み取るのだ理想像を

真っ赤な本能 汗だくのSOUL 残ったのはどっちだ?

 こんな世の中において、武器になるのは一周回って「本能」と「SOUL」かもしれません。ありのまま(ジャストザウェイユーア)でいよう、なんてよく言われますが、そんな余裕はありません。

むしろ不格好でいいから、あくまでチャレンジャーとして、理想を実現したい。最後に、お前らか俺らか、「どっち」がこの世界に残っているのか?と、強いメッセージを突き付けていて非常にかっこいいです!!

 

【4】2番Aメロ

1つとして 確かなもんなんてない

「向いてない」「センスない」 歴史のストーカーが騒ぎ出す

天才? 秀才? 20年にたったひとりの逸材?

そんな安い言葉売っぱらって 替えのきかない目で見つめろ

 ここも、1番とうたっていることは同じですね。とにかくあらゆる「毀誉褒貶」なんてくそくらえ!というのが、この曲に通底するメッセージになっています。

 

【5】2番Bメロ

熱血ド根性 満身創痍のロックンローラー YEAH

誰ぞにけなされたそのセンスで 常識を作り変える

 「満身創痍のロックンローラー」とは、ひょっとしたら自分自身のことかもしれません。ライブにいくとよく、MCで「自分たちの音楽性を否定されて、なにくそと思って頑張った」という話を聞きますが、まさにそんな経験を髭男もしてきた?のかもしれません。

人気が出てきている今だからこそ、思い上がらずに、音楽シーンの常識を作り替えるぞ!という宣言かもしれないですね(考えすぎか)。。

 

【6】2番サビ

真赤な本能 汗だくのSOUL

難題だらけのジャストザウェイユーア―

貫き通そう 削ぎ落す憎悪

顔色なんてうかがっちゃバカみたい

意地っ張りの闘争は HI-HEAT UP HI-HEAT UP

掴み合う鬼の形相

真っ赤な本能 汗だくのSOUL 膝をつくのはどっちだ?

こちらもおおむね1番と同じです。

本能とSOULをぶつけて、降伏する(=「膝をつく」)のは自分たちか世間か、どっちか?

絶対負けないという意志が伝わってきます。 

 

3. 髭男の奏でる音の多彩さがすごい!

今回の曲を聴いて思ったのは、髭男の作る音のバリエーションの多彩さでした。

 

これまで、"山陰発ピアノPOPバンド"の名前の通り、ピアノでの音作りが特徴の楽曲が多い印象でしたが、この曲はそんな髭男とはまた違った一面が垣間見えるロックな楽曲に仕上がっています。

 

・冒頭から曲を通じてピアノが大活躍のヒット曲『ノーダウト』

Official髭男dism - ノーダウト[Official Video] - YouTube

 

 

・弾むようなリズムが楽しいライブの定番曲『SWEET TWEET

Official髭男dism - SWEET TWEET[Official Video] - YouTube

 

小笹大輔(Gt)の攻撃的なギターにはじまり、楢崎誠(Ba)のサックス、優しい声で歌い上げるいつもとはまた違った、藤原聡(Vo)の力強い歌声。ブラックミュージックの色も強いですね。

 

メンバーもインタビューで直近、音作りに幅が出てきた手ごたえを語っていました。

──楽曲スタイルの振り幅が広いのもヒゲダンの大きな魅力だと思います。

藤原 そうですね。活動を重ねていく中で、やりたい音楽の幅がどんどん広がってきている感じはあって。僕はピアノを弾きながら歌うスタイルですけど、曲によってはハンドマイクで歌うものがあってもいいし、シンセや打ち込みをたくさん盛り込んだものがあってもいい。エレクトロのようなダンスチューンもやりたいし、しっとり聴かせるバラードもやりたい、みたいな感じでその時々の自分たちの気持ちに応じて作ってるところはあります。

https://natalie.mu/music/pp/higedan/page/2

 

上記のナタリーのインタビューでもあるように、今後の髭男がどんな曲をリリースしてくるのか、彼らの新しい挑戦がファンとして非常に楽しみです!

 

4. 魅力たっぷり!僕的、髭男おすすめ3選

 最後に、自分がおすすめする曲を3曲紹介して終わりたいと思います!

 

・『異端なスター』

www.youtube.com

ライブで皆でクラップするのが楽しい!!

 

・『バッドフォーミー』

www.youtube.com

おっしゃる通り、今どきなポップチューンですね!

 

・『ブラザーズ』

www.youtube.com

 映像もレトロですが、曲もちょっとレトロ。渋谷系っぽい?

 

いい曲ばっかりなので、皆さん聞いてみてください!

 

【楽曲解説】あいみょん『GOOD NIGHT BABY』の歌詞の解釈とは?

 

2018年に一躍TOPアーティストの仲間入りをした歌手といえば、あいみょんではないでしょうか。

 

『君はロックを聴かない』、『愛を伝えたいだとか』など代表曲がロングヒットし、『満月の夜なら』『マリーゴールド』『今夜このまま』(ドラマ「獣になれない私たち」主題歌)など年内で新曲を次々にリリースしています。

 

若い世代を中心に圧倒的な支持を得ているあいみょん(私の友人にもたくさんファンがいます)。

 

今日は、直近MVが公開となったReebokクラシックのために書き下ろされた新曲『GOOD NIGHT BABY』について、その歌詞の解釈を考えていきたいと思います!

(なんだかんだ、もりもりでお送りします、、 長文注意!!w)

 

あいみょんのリリース情報はこちら

www.aimyong.net

 

1. 楽曲と歌詞について

楽曲は、心地よいテンポが印象的なロックナンバーです。

ライブもジャージやスニーカーなどスポーティーな格好で登場するあいみょん

Reebokのモノトーンコーデもばっちりキマってますね!!

 

▼楽曲はこちら

www.youtube.com

▼歌詞

あいみょん『GOOD NIGHT BABY』

 詞・曲:あいみょん

 

さよならの後が 心地良いように

キスはしないでおこう

ふたりきりだけど

 

さよならの後に

会いたくなるように

キスは我慢しておこう

goodなnightにしなよbaby

 

と吐き捨てたくせに

恋しくなるのは僕さ

息切らし走る 君が手を振る

今日が終わってく

 

ほらもう君に会いたくて

恋しくてこのまま

走り始めた

スタート地点に戻って

後ろ姿の君を見るだけでもいいのさ

愛してる人の後ろ姿にまた

恋するのさbaby

 

街を歩こうか どこまで行こうか

耳にタコな話して ふたりきりでどうだ

 

落ち着け 落ち着け

冷静を装って

キスは我慢しておこう

goodなnightにしたいよ今日は

 

と吐き捨てたかった

でもカラダは馬鹿正直で

息を飲み歩く 君は笑ってる

時が止まりそうだ

 

ほらもう君に触れたくて

恋しくてこのまま

手を引き寄せても

いいかな なんて考える

後ろ姿の君が 手を振り笑う君が

愛しい人だと 強く頷いた

君が好きだ

 

これからの僕らの 未来に期待したい

いつか叶えたい 夢ばかりの今を

とりあえず君と過ごしたい

 

ほらもう君の横顔が恋しくて

このまま 抱きしめた勢いで

なんて考える

後ろ姿の君が 手を振り笑う君が

愛しい人なんだ まだまだずっと

これからもずっとずっと

大切さ

 

ほらもう君に会いたくて

恋しくてこのまま

走り始めた スタート地点に戻って

後ろ姿の君を 見るだけでもいいのさ

愛してる人の 後ろ姿にまた

恋するのさbaby

Good night baby

 

2. 歌詞の解釈について

それでは、ここから具体的に歌詞を解説していきたいと思います。

【1】1番Aメロ

さよならの後が 心地良いように

キスはしないでおこう

ふたりきりだけど

 

さよならの後に

会いたくなるように

キスは我慢しておこう

goodなnightにしなよbaby

 この曲は、恋人同士の二人の関係性を、一方から語っている構成になっています。

普通に考えると一人称が「僕」なので、主人公は男性でしょう。

あいみょんは男性目線の曲が多いのも特徴ですね。

 

さて、いきなりですが、男女の仲には「駆け引き」がつきもの

まだ付き合う前でも、恋人になっても互いに印象操作はたくさんしますよね。

男女の関係性は、繊細なコミュニケーションで成り立っています。

お互い言わなくてもいいことは言わなかったり、あえて本心じゃないことをいったり…。

(もう自分も25歳なんですが、毎回恋愛のたびに疲れますw)

 

主人公は別れた後の感触を、「心地よ」く終われるように、あえてキスを我慢しています。二人の時間の最後を、キスの温もりで締めると寂しくなるのでしょう。さっぱりと別れて、次回のデートが楽しみになるように、「僕」はキスはしないようにします。

 

【2】1番Bメロ

と吐き捨てたくせに

恋しくなるのは僕さ

息切らし走る 君が手を振る

今日が終わってく

ただ、Bメロに入るといきなり、それは「僕」の強がりだということに気づくでしょう。あたかも相手の感じ方をコントロールしているような口ぶりですが、実際は結局自分の方が我慢できない。

彼女が去っていくのを追いかけて手を振って、二人の時間が終わっていきます。

(息を切らすほど走って、君も手を振っているので、バスか何か乗り物に乗って家に帰っていくのでしょうか。)

 

【3】1番サビ

ほらもう君に会いたくて

恋しくてこのまま

走り始めた

スタート地点に戻って

後ろ姿の君を見るだけでもいいのさ

愛してる人の後ろ姿にまた

恋するのさbaby

そして1サビに入りますが、ここでこの歌のKeyになる、去っていく「君」とそれを見つめる「僕」の構図が初めて登場します。

 

このシーンについてどう解釈するかでこの曲の受け取り方が変わりそうですが、自分は情景描写ではなく、「僕」と「君」の常日頃の関係性を歌った比喩ではないかと考えています。

 

多分、「僕」は恋している「君」を"追いかけている"のです。もちろん、本当に走っているというよりは、「君」には夢や目標があり、それに向かって日々全力で頑張っている。

 

一方、恋人の「僕」は、二人の時間の終わり去っていく「君」を強がって引き留められず、ただ追いかけるしかない。「君」がどこかに向かって走っていくのは寂しいけれど、そんな君の後ろ姿に惹かれ、魅力的に感じてまた好きになるのではないでしょうか。

 

【4】2番Aメロ

街を歩こうか どこまで行こうか

耳にタコな話して ふたりきりでどうだ

 

落ち着け 落ち着け

冷静を装って

キスは我慢しておこう

goodなnightにしたいよ今日は

さて、また別のデートの日にシーンが切り替わります。

この日は「僕」にとって「goodなnightにしたい」日なので、一緒に夜まで過ごしたい日なのでしょう。

(「おやすみ」と「夜を一緒に過ごす」を"good night"で使い分けているのはさりげないですがセンスがありますよね、、!)

キスをしたい衝動に駆られています。

 

【5】2番Bメロ

と吐き捨てたかった

でもカラダは馬鹿正直で

息を飲み歩く 君は笑ってる

時が止まりそうだ

でも、結局言いたいことをちゃんと言えないのが「僕」なのでしょう。「言いたい」と「言えない」の板挟みになり、息を飲んで歩いているのが不自然で、多分「君」にも悟られている。男としては、色々な感情が渦巻いて「時が止まりそう」になります。(分かりますw)

 

【6】2番サビ

ほらもう君に触れたくて

恋しくてこのまま

手を引き寄せても

いいかな なんて考える

後ろ姿の君が 手を振り笑う君が

愛しい人だと 強く頷いた

君が好きだ

2番の歌詞も、1番に同じく日々の二人の関係性を描写しています。「君」に触れたいかと思ったらその時に、「君」の手を引き寄せてもいいかなといつも「僕」は考えます。

 

だけどそんな風に自分本位に考えると、いつも「後ろ姿の君」が頭をよぎる。自分のことも好きだけれどそればかりではなく、自分以外の惹かれるものに向かって走っていく「君」の姿が好きだということも「僕」はわかっているのです。

 

自分の気持ちの高ぶりを「君」にぶつけたい「僕」と、自分以外にも大切なものがある「君」。「僕」の気持ちを真っ正直にぶつけてしまうとバランスが崩れそうな気がして、素直になれないのが甘酸っぱくて、ちょっと痛いです。。

 

【7】Cメロ

これからの僕らの 未来に期待したい

いつか叶えたい 夢ばかりの今を

とりあえず君と過ごしたい

こんな関係性だということを、「僕」も「僕」自身で気づいているからこそ、これから先どうなるんだろうという不安に駆られます。

「君」と将来叶えたい夢ばかりがあるけれど、それをいつか叶えられるのか…そんな不安を感じながら、とりあえず君とずっと一緒に居たいと思っているのでしょう。

 

【8】ラスサビ

 ほらもう君の横顔が恋しくて

このまま 抱きしめた勢いで

なんて考える

後ろ姿の君が 手を振り笑う君が

愛しい人なんだ まだまだずっと

これからもずっとずっと

大切さ

 

ほらもう君に会いたくて

恋しくてこのまま

走り始めた スタート地点に戻って

後ろ姿の君を 見るだけでもいいのさ

愛してる人の 後ろ姿にまた

恋するのさbaby

Good night baby

最後のサビでも、描かれるのはやはり「君」の後ろ姿。後ろ姿の「君」が好きだから、大切にしたいという想いが歌われます。

「君」は「僕」ばかりを見ているわけではないからこそ、「僕」が強引に「君」を引き寄せたらどうなってしまうんだろうという気持ちに苛まれる。

この関係を壊したくなくて、今は「後ろ姿の君を見るだけでもいい」と思うのでしょう。

 

3. あいみょんと、「僕」と「君」の関係性~変わったもの、変わらないもの~

ここまで長々と『GOOD NIGHT BABY』について見てきました。

 

「僕」以外にも惹かれるものがある「君」と、「君」への気持ちを全てぶつけられない「僕」。危うくて脆いバランスの上で成り立っている、付き合いたての男女の少し甘酸っぱい歌だと自分は解釈したのですが、皆さんはどうでしょうか?

 

さて、少し話が変わりますが、この『GOOD NIGHT BABY』の主題になっている「僕」と「君」の二人の関係性の世界は、これまでのあいみょんの楽曲の中に頻繁に登場しています。この『GOOD NIGHT BABY』は、これまでと何が共通していて、何が新しいのでしょうか。

 

・共通する主題は"「僕」と「君」という関係性の「壊れやすさ」"

 2018年8月にリリースされた『マリーゴールド』。この曲と『GOOD NIGHT BABY』のテーマが、かなり類似しているなと思われた方もいるかもしれません。

 

あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube

麦わらの帽子の君が

揺れたマリーゴールドに似てる

あれは空がまだ青い夏のこと

懐かしいと笑えたあの日の恋

 

「もう離れないで」と泣きそうな目で見つめる君を

雲のような優しさでそっとぎゅっと

抱きしめて 抱きしめて 離さない

『GOOD NIGHT BABY』は去っていく「君」とそれを見つめる「僕」という構図でしたが、『マリーゴールド』は「離れないで」という「君」と「離さない」という「僕」。いずれも二人の関係性、もっといえば距離感に主眼が置かれています。

 

さらに、注目するのはCメロの展開。『GOOD NIGHT BABY』と同様、主人公は未来へ想いを馳せています。

 

遥か遠い場所にいても

繋がっていたいなあ

2人の想いが

同じでありますように

 『マリーゴールド』も『GOOD NIGHT BABY』も、主人公は「君」のことが大好きで、「君」と一緒に居られることを幸せに感じています。

ただ、一方で二人の関係に一点の曇りもないわけではなく、幸せだからこその脆さ、距離感が近いからこその危うさもはらんでいます。

 

自分はまさにこの点こそ、あいみょんが「僕」と「君」の関係性を描くうえで得意としている主題ではないか、と考えています。だからこそ、幸せな今だけでなく、これから先の未来を想像せずにはいられないでしょう。

『ふたりの世界』という曲にも、この二人の関係性の"壊れやすさ"がより直接的に表現されたフレーズがあります。

 

あいみょん - ふたりの世界 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube

サヨナラって言わないでって言うくせに

いつも私が「さよなら」を告げるのにね

自己中心的に進む恋愛とこの先の不安が

混ざりあって 抱き合って 今がある

 

・二人の関係性に"深さ"が出てきた(『貴方解剖純愛歌~死ね~』から『GOOD NIGHT BABY』まで)

 あいみょんがリリースした曲の中で最も古いのが『貴方解剖純愛歌~死ね~』という楽曲です。ストリート時代から歌っているこの曲は10代の頃に書かれた曲です。

主題はこの曲から「あなた」と「私」なのですが、ここで歌われている内容は今よりももっと直情的で過激です。

 

あいみょん「貴方解剖純愛歌 〜死ね〜」LINEで作ったリリックムービー - YouTube

あなたの両手を切り落として 私の腰に巻き付ければ

あなたはもう二度と 他の女を抱けないわ

 

あなたの両目をくりぬいて 私のポッケに入れたなら

あなたの最後の記憶は 私であるはずよね

 

逃さないよ 離さないよ 私だけのあなたになるの

今すぐ部屋においで

 

ねえ?どうしてそばに来てくれないの

死ね。私を好きじゃないのならば

このくらい、好きな相手に憎悪にも似た感情を抱いてしまうこともありますがw、あんなに控えめだった『GOOD NIGHT BABY』から考えると嘘のように自分本位で、相手に想いを突き付けるような迫力があります。

 

それから2年後にリリースされた『愛を伝えたいだとか』。

 

あいみょん - 愛を伝えたいだとか 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】 - YouTube

結局のところ君はさ

どうしたいの

まじで僕に愛される気あんの?

 このフレーズが自分は一番好きなのですが、やはり「君」にダイレクトに気持ちを聴くあたり、ストレートさが目立つ印象です。

 

10代に作られた曲で目立つのがあいみょんのある意味での幼さだとすれば、『GOOD NIGHT BABY』で変わったものが見えてきます。自分はそれを、今回の読み解きの中で見出した"「僕」が「君」を見る視点"であると考えています。

 

「君」のことしか見えない「僕」にならないようにしよう、という、「僕」を俯瞰して見るメタレベルの「僕」の視点。これがあるからこそ、二人の関係に今までにはないような"深さ"が感じられるのではないでしょうか。

 

4. まとめ

好き勝手に長々書いてしまいましたが、いかがだったでしょうか。

 

『GOOD NIGHT BABY』以外にも、ドラマ「獣になれない私たち」の主題歌担当や映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」への主題歌提供、そして18日に映画「あした世界が終わるとしても」の主題歌&挿入歌の担当が発表されるなど、今まさにノリにノッているあいみょん

 

今後ともメディアに話題を振りまくあいみょんから、目が離せなそうですね!!

 

【楽曲解説】My hair is bad『次回予告』歌詞の解釈とは?

 

My hair is badの新作音源「hadaka e.p.」が11月7日にリリースになります。

今日はその中から、リード曲『次回予告』の歌詞の考察してみたいと思います。

 

My hair is badのリリース情報はこちら

www.myhairisbad.com

 

1. 楽曲と歌詞について

『次回予告』は、あえて粗い画像で表現したMVが話題になっています。

※これまでと印象が違いすぎるからか、バヤさん別人説が流れてました(笑)。あと椎木さんがいい感じに昭和っぽいです。

 

▼楽曲はこちら

www.youtube.com

 

▼歌詞

 

My hair is bad『次回予告』

詞・曲:椎木知仁

 

眠れずに眺めてた あのテレビ

僕らはいつまでも忘れられないまま

 

また今日が

 

日曜のままの身体の朝

起き抜けの肌 熱めのシャワー

身の残ったバナナの皮

スヌーズ機能のままのアラーム

雑な歯磨き 塵紙がない

戸締りの鍵 木々の真緑

休みは七分の二 なのに

遊びたい 休みたいの二分の二の日々

 

新聞もニュースも

他人事の様に流れ踊ってる

今起こる戦争暴動と喧騒

それより週末はなにしよう

自分自身の熱愛期待してる

浮気はしないししないでね

若さ故の薄暗さより

大人方の明るさの方が違和感だ

 

将来の夢や生活の為

ぶつけた痣や計画の仇

先の話より昔の話ばっかりになった

でもずっと

 

眠れずに眺めてた あのテレビ

僕らはいつまでも忘れられないまま

奪い取られてた

でもいつか

僕もきっと気付かずに

奪い取ったんだろう

失くなったことばかり

ずっと想い馳せないでいて

続きは これから

 

冬になる度 校庭に積もる雪

長電話がより近付けていく距離

本当の気持ちだって 機械越しに電波に話すほど

僕らは今に頼ってる

 

心の奥にある鍵の付いたおもちゃ箱

勇者の剣 お城の積み木

ピース足りないパズルの続き etc

いつか無くなる日が来るよ

いつか忘れる日が来るよ

でもそれはきっと大切な誰かに

あげる日なんだ

 

僕ら年老いても

この街は変わり続けていくだろう

僕らも変われたら

だけどその僕が 変わるチャンスは何度あるんだろう?

失敗しないなんて 後悔しないなんて

いくら望んだってあり得ないって

これからも何度だって失くしていくけれど

僕らの続きはいつだって

今日だ

 

2. 歌詞の解釈について

それでは、ここから具体的に歌詞を解説していきたいと思います。

【A】1サビ

眠れずに眺めてた あのテレビ

僕らはいつまでも忘れられないまま

 

また今日が 

冒頭の描写は、深夜に誰かが眠れずにTVを見ているところから始まります。聴く人はみなこの一文で、真っ暗な部屋の中で横になりながらTVをぼーっと眺めている様子を想像したのではないでしょうか。

「暗い部屋でベッドに横たわって…」という親切な情景描写なしに、映像を想像させる―このあたりの言葉選びが、いつも本当に巧みだなと思っています。

 

語り手はそのなんて事のない光景や、TVの内容ををずっと覚えていて忘れられません。

そしてそのまま、「また今日が(終わって)」いくのでしょう。

 

TVの内容や語り手が誰かが明らかにされていませんが、一度先に進みます。

(以前のブログでも書いた通り、My hair is badは自己開示の強い歌詞が特徴なので、これが椎木さんのことを歌っているのか、完全なフィクションなのか?は気になるところです)

 

ちなみに良く言われることですが、My hair is badの特徴の一つに、前奏なしの歌い始めがあります。こちらは今回も踏襲していますね。

YouTubeが一般的になった今の時代、入りのの数秒でいかに聴く人の気持ちを掴むかがポイントになると言われています。

「ブラジャーのホックを外す時だけ 心の中までわかった気がした」(『真赤』)や「渋谷駅前は今日もうるさい なかなか二人になれない」(『卒業』)は非常に強い言葉選びだと感じますが、今回の「眠れずに眺めてた あのテレビ」というフレーズには、やはり引っ掛かりを感じさせると思います。

 

【B】Aメロ

 日曜のままの身体の朝

起き抜けの肌 熱めのシャワー

身の残ったバナナの皮

スヌーズ機能のままのアラーム

雑な歯磨き 塵紙がない

戸締りの鍵 木々の真緑

休みは七分の二 なのに

遊びたい 休みたいの二分の二の日々

さて、シーンは月曜日の朝、こちらも情景描写でAメロが始まります。

今回面白いなと思ったのは、このAメロの言葉遊びです。

「朝」「肌」「シャワ」「バナナの皮」「ままのアラ(ーム)」 すべて「a」でそろえるのが見事ですね。ドラムも3拍目にアクセントをおいて韻を強調しています。

 

朝はバナナ一本。苦手なんでしょうね。スヌーズ機能を使ったり、チリ紙がなかったりするところを見ると、ひとり暮らしなのでしょう。

休みは七分の二、かつ月曜の朝に家を出ているので、平日に仕事に出かけているようです。

仕事にはあまりやりがいを感じておらず、仕方なくやっているという感じでしょうか。

遊びたい、休みたいが先行しています。

 

この内容を見る限り、ここで描かれているのはバンドマンの日常ではなく、会社ではたらく平凡な若いサラリーマンの日常ではないでしょうか。

 

【C】Bメロ

新聞もニュースも

他人事の様に流れ踊ってる

今起こる戦争暴動と喧騒

それより週末はなにしよう

自分自身の熱愛期待してる

浮気はしないししないでね

若さ故の薄暗さより

大人方の明るさの方が違和感だ

 どうやら、ここで描かれている若者は、世の中の事件にも無関心なようです。

「今起こる戦争暴動と喧騒 それより週末はなにしよう」は、本当に今の時代の若者のリアルをうまく掬い上げていると思います。

恋愛にしても「自分自身の熱愛期待している」と自分のことなのに受け身の姿勢。浮気もしない。

そして自分も暗いと自覚しながら、それは若さ故であり、明るくふるまう大人に無理をしているような印象を持ちます。

欲もなく、世間にも無関心。

やはり、(世の中でに語られている)今の"典型的20代"の特徴ですね。

(個人的にはどんぴしゃなので、めちゃめちゃ共感できます(笑))

 

【D】Cメロ

将来の夢や生活の為

ぶつけた痣や計画の仇

先の話より昔の話ばっかりになった

でもずっと

 この若者も将来の夢があったけれど、十分な計画がなく、それが「仇」になったのかもしれません。

気づけば「先の話より昔の話ばかり」の懐古主義になってしまいます。

「でもずっと」の先にあるのは、(あの夢を心のどこかで忘れられない)ということだと解釈しています。

 

【E】1サビ

眠れずに眺めてた あのテレビ

僕らはいつまでも忘れられないまま

奪い取られてた

でもいつか

僕もきっと気付かずに

奪い取ったんだろう

失くなったことばかり

ずっと想い馳せないでいて

続きは これから

 さて、ここからがサビになります。

TVを見て持ったあの夢。その夢を、(いつの日か)「奪い取られていた」のかもしれません。

誰にとは詳しく書かれていませんが、それは周りの大人かもしれないし、社会かもしれません。

そして、この歌のすごいところは「でもいつか 僕もきっと気付かずに奪い取ったんだろう」と、その夢をあきらめたのは自分自身である、と鋭く指摘していること。

そんな誰かに対し、マイヘアは「失くなったことばかり ずっと想い馳せないでいて」と、未来に人生の続きがあることを歌います。

 

【F】Dメロ

冬になる度 校庭に積もる雪

長電話がより近付けていく距離

本当の気持ちだって 機械越しに電波に話すほど

僕らは今に頼ってる

 ここの部分が、少し難しいのですが、雪が「冬になる度 校庭に積もる」のは3人の地元の新潟の風景でしょう。

これは椎木さんの学生時代の思い出だと思います。

ここで伝えようとしているのは、過去の大切な思い出のワンシーンですら、電話という「技術」があって初めて成り立っていること。
自分の奥底から出てきた本当の気持ちですら、電波に乗せてしまう現代で、「昔だけ」(=今に頼らず)に生きることってそもそもできないよね、ということを歌っているのではないでしょうか。

 

【G】Eメロ

心の奥にある鍵の付いたおもちゃ箱

勇者の剣 お城の積み木

ピース足りないパズルの続き etc

いつか無くなる日が来るよ

いつか忘れる日が来るよ

でもそれはきっと大切な誰かに

あげる日なんだ

自分が大事にしまっている過去の想い出は、おとぎ話のような美しい物語。

捧げられる大切な誰かとの出会いのタイミングで、前向きにそれを捨てることができるのでしょう。

 

【H】ラスサビ

僕ら年老いても

この街は変わり続けていくだろう

僕らも変われたら

だけどその僕が 変わるチャンスは何度あるんだろう?

失敗しないなんて 後悔しないなんて

いくら望んだってあり得ないって

これからも何度だって失くしていくけれど

僕らの続きはいつだって

今日だ

いよいよラスサビです。

人は変わらければいけないけれど、普通はそう簡単に変われないものです。

だからこそ、傷つかないことを望んではいけない。

失くしていく瞬間こそ、自分が「変わるチャンス」なのでしょう。

美しい思い出の続きが、今生きる「今日」なのです。

 

3. 感想

いやー、本当に自分にドはまりな曲を出してきてくれました。。

世代的にも、境遇的にも本当にぴったりです。

 

今回の曲は、情景描写を見る限り特定の誰かの話ではなく、ごく普通の生活を過ごす若い“僕ら”の描写なのだと思います(椎木さんの過去の体験の描写でもない)。


20代中盤の“僕ら“の感じる「今」や、「所在なさ」を巧みに掬いながら、未来に希望を持とうよと歌っている。本当の同世代のマイヘアが、自分たちと同じことを感じているとわかると、ちょっとうれしいです。

 

高校時代の同級生が集まって当時組んでいたバンドで演奏をする「同窓会ライブ」があったのですが、そこである一人の友人がしていたMCが、今でも心に残っています。

 

「俺も昔が大好きだけど、なんでそう思えるかって思うと、その時一生懸命頑張っていたからだと。今を精一杯頑張って生きないと、過去がつまらないものになると思うんです。だから俺ら、過去を楽しい思い出に変えるためにも、今を精一杯生きようよ

 

この思いを大事にしている自分にとって、『次回予告』は本当に心に染みました。

いい歌なので、皆さん聞いてみてほしいです!!